くましん

リトアニアへの旅の追憶のくましんのレビュー・感想・評価

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
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この映画の制作手法は手元にカメラを持っている人が多い現代人にとって容易いですが、その現代人の多くを占めている凡庸な才能がこの映画のように制作するとただのホームビデオと化します。やはりジョナスメカスは天才なのでしょうか、この映画はメカス自身の追憶劇というドラマを持った美しい映画でした。

映画として成立させることが出来た要因はカメラワークやモンタージュの技術に因るものと考えて良いと思います。一見ホームビデオに見えそうなシーンでもちょうど良い具合に趣向を凝らした映像でありましたし、良いリズムを作っているモンタージュでありました。

もうすでに現実のものでは無くなってしまった過去や記憶は映像の中で生き続け、現在の自分に対してその過去や記憶が生起します。映像というテクノロジーは時に残酷だとこの映画を観て痛感しました。
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