だすぷーちん

あなたへのだすぷーちんのレビュー・感想・評価

あなたへ(2012年製作の映画)
4.0
元富山刑務所看守、倉島くん。亡き夫人の遺言で、改造エルグランドで長崎薄香漁港を目指すが、道中、人生に迷う者たちに救いを求められて酷い目に遭う!

    ※ ※

人生後半で出会った夫婦。
奥さんの方が悪性リンパ腫で先に逝ってしまいます。

奥さんは、長崎の薄香の海で眠りたいという遺言書と、薄香留置でしたためた手紙を遺言代行NPOの人に託していました。

留置きの期間は10日間、その間に薄香に着かないと奥さんの最後のメッセージを受け取ることは出来ません。

倉島くんは薄香を目指しますが、道中、種田山頭火をろんじる自称元国語教師のかなり胡散臭い男や、奥さんに間男がいると勘ぐり家に帰りたくない、わがままないか飯の行商人、そして、その部下の訳あり男に絡まれ、たびたび、足止めをくらいます。

道中、ロードムービーにありがちな、(観る人にもよりますが、)退屈な場面が続く上に、更には、クライマックスに繋がる伏線となる訳あり男の過去ストーリーについて、

「まあ、ちょっとそんな偶然はないわな」

 感が満載なのですが。

この夫婦と同じような会話が常に出る日々を過ごす年寄り夫婦にとっては共感を感じずにはいられませんでした。

この映画を楽しむには、独特の感性が必要なようで、降旗映画が嫌でなければいいのですけれど、そうでなければ、「ふーん」で終わってしまうか、「つまらん!お前の話はつまらん!(秀治調) 」と、途中でやめちゃうか、という微妙な仕上がり感をおぼえます。

ちなみに、高倉健、大滝秀治さんの遺作だそうです。二人とも、そういう健康状態で、背筋ピンは大したものだと思いました。
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