このレビューはネタバレを含みます
暴力的で穢れた魂の浄化っていうの、そういえばこの頃の韓国映画によく出てきてたなとか思った。『オールドボーイ』とか『春夏秋冬、そして春』とか。こんなはずではなかったよ。花を愛でるやさしい人間だったはず。でも暴力と残酷が支配する大人の社会を必死になって生きているうちに自分も暴力でなんでも片付けようとする残酷な人間になってしまった。最初は狂っているようにしか見えない主人公のピクニックでの振る舞いは、最後には自らの暴力性を抑えようと必死に自分自身と戦っている姿だったことがわかる。
まるで救われない物語に思えるけれども、だからこれは救いの物語なのだ。「戻りたい!!」死の間際、彼は自分の奥底にまだ微かに残る、あの花を愛でるやさしい自分を、自分の死と引き換えに発見するのだ。よかった。