IPPO

ペパーミント・キャンディーのIPPOのレビュー・感想・評価

3.7
ようやく辿り着けた という実感。

根深い兵役問題、80年代の軍事制圧、学生運動、光州事件などなど、現代韓国を作り上げてきた様々な社会不安を映画の力を借りて世に問いかける。
その時代を生きてきた人は、大なり小なり時代に翻弄されたんだろう。加害者になったり被害者になったり。その傷が癒えぬままの人は、韓国社会でどこに向かえば良いのだろう。

主人公は、若き日のとある衝撃を起因とし、人との距離感を上手く取れず20代は苦悩しどこか夢想気味。30代はどこか満たされず孤独を抱えているようだ。
彼の心の旅とも言える、人生の振り返り。
日本と違い、戦争が終わってもまだなお社会が揺らぎ続け、貧しい時代を経験した韓国だからこそのヒューマンドラマ。

ソル・ギョング氏はそもそも塩顔というのもあって、中年から20代前半の若者まで一作の中で見事に演じ分け、演じきる。

楽しかった、面白かった と言う評価は極めて難しい。
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