らもちー

腑抜けども、悲しみの愛を見せろのらもちーのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

すごく面白かった。全くもって仲良くなさそうな問題だらけの家族だけど彼らはみんなしつこいくらい「家族なんだから仲良くしよう」と口にする。逆に言うと家族でもなければ関わりたくないとも言えるような…。家族というだけで同じ屋根の下暮らさなければならない苦痛。最後に姉をやり込める妹は爽快で、そこで終わるのではなく姉も何か吹っ切れたように妹を追いかける終わり方はよかった。マチ子さんの生い立ちが見かけに反して重いものなのもその生い立ちにこの性格ありという感じで説得力があって良かった。田舎の夏のジメジメした雰囲気が映像から伝わってきてよかった。妹にとっても兄にとってもそれぞれの目線で家族は宿命のようであったが、始終悪役のように描かれてる姉にとってもやはりそれは同じで、得体の知れない妹や理解のない親は人生の枷であり宿命だったように思う。エンディングがチャットモンチーで少しびっくりしたけど(チャットモンチーは爽やかなイメージなのでこの映画のイメージではなかった)、意外とハマっててよかった。


田舎に住むある家族の話。夫婦がある日事故で2人同時に亡くなる。 長男とその嫁、次女が葬儀を進める中長女すずかが東京から帰ってくる。彼女は東京で売れない女優をやっていた。


すずかはある意味素直な性格でもあるのだが何せワガママで横柄で思ったことがすぐ口に出てしまうタイプ。その性格も災いして東京では上手くいかず所属していた事務所で借金も抱えていた。兄は家族思いだが嫁には当たりが強く、またすずかには頭が上がらない様子。嫁は一見明るく悩みなんてなさそうなタイプだが生い立ちは壮絶。末っ子である妹は暗く思ったことを言えず姉にいびられ続けているが漫画の才能があり…。
すずかが帰ってきたことで家族の空気は変わっていく。すずかは過去に女優の夢を親に反対されたことで逆上し親に刃物を突きつけ、仲裁に入った兄は顔に傷を負う。自力で東京に行く金を貯めるため当時高校生だったすずかは同級生と売春行為。そんな家族の不幸を物陰から観察していた妹は漫画にして賞に投稿しこれが受賞して雑誌に掲載されると狭い田舎ではすぐ噂が広まり家族は奇異の目で見られることに。特に漫画の中で主人公だったすずかは辛い時間を過ごした。それを理由に今女優業が上手くいかないのは妹のせいだと八つ当たりし辛く当たるすずか。それをなだめる兄は昔自殺を計るすずかを止めようとしたときすずかに迫られ体の関係を持っていて、すずかに強く出られない。またその際にすずかにすずか以外の女と関係を持たないと約束させられている。そんなことを知らないマチ子は夫に求められないことに思い悩む。ある晩マチ子は夫に迫りなんとか関係を持つがそれを察知したすずかはまた兄と関係を持つ。また、東京の借金で金に困るすずかは再び売春。そして一部始終を物影から見ていた妹。妹は歪んだ家族をどこか客観視し面白いと感じていて、自分がいびられていたことさえも漫画にせずにはいられない。また兄はすずかとの関係を妹に見られたことでショックを受け、元々鬱気味だったのか自殺してしまう。


妹はまた家族のことを漫画にして漫画賞で受賞。連載に向けて東京行きを決意する。兄の死が妹に何か影響を与えたのだろう、妹はすずかに思いの丈を告白し、すずかが夏中やり取りしていた映画監督が自分であることを自白した。妹は逆上した姉に刺されるが姉が持ったナイフはドッキリナイフだった。全て読み通りで笑って出ていく妹。打ちのめされるすずか。


家族が欲しかったマチ子さんは1人家に残され、すずかは妹を追いかける。すずかと妹は揉み合いになるが姉は妹に「どうせ私のことを漫画にするなら最後まで見な」と言い共に東京に向かう。
らもちー

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