らもちー

きみに読む物語のらもちーのネタバレレビュー・内容・結末

きみに読む物語(2004年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

テンポがよく映像も綺麗で最後まで退屈せずみれた。アリーはずっと親の管理下で生きてきたから自分で何かを選ぶのがたぶん苦手で、ノアか婚約者かという所でもアリーは自分の感情よりも1番傷つく人が少なくて済む方を無意識に選ぼうとしてしまうんだけど、ノアはそれを見通してて「君が選ぶんだ」と迫る。ノアを選んだ所で2人の話は終わるんだけど、それだけの恋愛映画だと2人にとってのハッピーエンドなだけ過ぎて映画としてバランスが悪いので、認知症になった妻に自分たちの物語を語り聞かせるというやり方をとることで悲しみとのバランスをいい感じにしてる気がする。あと婚約者を振ってノアを選ぶというのは観る人によっては「アリーはひどい女だ」と思うかもしれなくて、そんなアリーに反感を抱かせないようにアリーの絵の趣味という設定があって、アリーはその婚約者といるとき絵のことを忘れていてそれはある意味で自分を見失ってるともとれるんだけど、ノアはちゃんと絵のことを覚えてくれててアリーに絵を描く場所を与えてくれるという描写があるので、アリーが悪者にならなくて済んでる感じ。
作中で「私たち本物だったよね?」みたいな「本物の愛」というワードがよく出てきて、個人的には「愛」に対して本物だとか偽物だとか言うのはキモイなと思ってるんだけど、この話の場合は主にアリーの親が若者の恋愛を軽んじてる節があって、それに対して「若くても人を愛することができる」という意味で「私たち本物だったよね」というセリフがあると同時に、認知症で自分のことさえ忘れかけてる妻に献身的に寄り添う夫を描くことで「愛というものに年齢は関係ない」みたいなことをやろうとしてるのかなと思って、なので不快感なく「私たち本物だったよね?」というセリフを受け入れることが出来た。
終わり方どうするんだろうと思ったけど2人同時に死ぬというのはちょっと出来すぎてる終わり方のように思えて興ざめしたので、個人的にはノアがアリーを看取るような終わり方でもよかったんじゃないかなぁと思った。あとアリーの母親の動きが少し不自然に思えた。


老人ホームで過ごす認知症の老婦人にある老男性が物語を読みきかせる。


物語は2人の男女の恋の話で、一度は引き裂かれるものの最後は結ばれるという話。


物語を最後まで聞いたところで老婦人はそれが自分たちの物語であることに気づき、老男性にノアと呼びかけるも、記憶はまた遠くに行ってしまい老婦人はまた全て忘れてしまう。


老男性が部屋に入ると老婦人はアリーとしてそこにいた。2人は手を取り合ってお互いを思い合いながら天に召される。
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