こもり

白い肌の異常な夜のこもりのネタバレレビュー・内容・結末

白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

瀕死の北軍の兵隊さんマクバーニー伍長(クリント・イーストウッド)が南軍の子女が在籍する女学院へ逃げ込むとこから始まるモテる男はつらいぜ系スリラーin南北戦争中のアメリカ
怪我した超絶イケメンが転がり込んできたことをきっかけに女たちの抑圧されてきた欲望が露わになり、それぞれが新たな恋と"愛する男に愛される私"に煌めくが、男の裏切り行為が寄宿舎中に知れ渡ったことで事態は急変する。校長は男が自分を差し置き17歳の学生の寝室へ行ったことを知り男の脚を切ろうとし、他の女たちも緩やかに同調する。この男の身体の一部を切るという行為は、わたし(たち)はお前の身体を自由に扱える、閉じ込めておける、という権威的なメッセージにも思えるし、次は去勢をするぞという脅しにもみえる
ところが、男は脚を切られても女たちに屈しなかった。男のなけなしのプライドを守るためか?可哀想な被害者ではいられなかったのか?男は南軍が近くに駐屯している情報と拳銃で持って女たちを脅す。この学校では女校長が絶対の権力者として君臨するが、敷地のすぐ外では紛争が起こっており、心身の荒ぶった男たちが大勢いることを知っている。もしこの寄宿舎の存在が彼らに知られてしまえば たいへんなことになることは想像に易く、居丈高に振舞う校長もその他の女たちもそれを恐れていることを男は理解していた。
校長は男の思わぬ反撃に一時は怯むも、すぐに毒殺しようと決心する。12歳の少女は校長の発言から真意を汲み取り、毒殺の片棒を躊躇いなく担ぐ。その場にいた女たちは男の毒殺しようとする計画に誰も反対せず、男が毒きのこを口にしたときも、なにも言わなかった。
女性陣の中で毒きのこが入ってると唯一知らなかった、男に骨抜きにされている純情女教師がきのこを食べようとした際、唯一校長だけが食べてはいけないと止めに入る。それによって、男が毒を盛られたと気付いたが、気付いたからといってどうなる訳もなく、結局男は死に、学校の敷地内に埋葬される。あくまでも突然死だと皆に良い聞かされる校長と、何も言わない女たちと、悲しみに泣く純情教師ひとりを残して

いいとこ
・男と女の性欲の話とも言えるし、男女関係における理想の力関係をそれぞれが模索した話、男に見切りをつけた女の話でもあるように感じた
・純情教師は"怪我して満足に動けないイケメン"に盛大に食いつき最後までついて行こうとし、周りを出し抜きベッドインに成功した17歳は空気を読み乱暴されたとシフトチェンジし毒殺も止めず教師がきのこを食べても知らんぷり、唐突にチューされて惚れて亀を殺された12歳は校長に指示されるがまま毒きのこを採って来て男と教師がきのこ食べるのを黙って見ていた。男性と縁がないという共通点を持つ3人の、三者三様の男との別れ方は方向性が違えどどれもいかにも女性的な人間臭さがある
・誰に相談することもなく学校(の土地や建物といった財産)を譲ろうとしたりマクバーニーさん殺しを迷いなく決心したりする校長先生、彼女の決断力は元々のものなのか、昔お兄さんを殺したことがあるからなのか気になる(お兄さん殺してそう、殺しててほしい、女中さんと一緒にお兄さんを埋めた過去があってほしい)
・無計画なイケメンは罪だし、円満にモテるためには賢さが必要
・全てを諦観する黒人女中の存在感が際立つ邦題が好き

つらいとこ
ご丁寧に心の声が収録されてる、起承転結の承 階段落ちまでが眠たい、序盤のモテモテモードに違和感がある

吹替版鑑賞🍷🍄💋👣 亀ランドルフ
beguile(V)〜を騙す、喜ばせる、魅了する