素数

麦秋の素数のレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.3
あれは就活の時期だったのでもう5年ほど前になりますが、以前観た東京物語があまりにも良すぎて刺さりすぎたゆえに、他の小津作品に手を出せずにいたんですよね。
しかし今年小津監督生誕120周年ということで記念上映、時間があったのでついに小津2つ目の鑑賞。
いやー、良すぎました。
家族にしても友達にしても結婚にしても、昭和特有のものと今も変わらない普遍的なものとそれぞれが存在していて、令和のいま見てもほとんど違和感がなく、すっと入って来て、なんというか監督は人間そのものを理解している感じがします。
それでいて、しっかりユーモアもあり、バランスよく笑いも織り交ぜてくる気持ちよさもある。その点で言うと、本作では子供達が大活躍でした。
そしてやはり芸術としての映画である点。
画角や風景、人物配置にセリフや話し方、すべて作られて完成しているという感じもするし、こだわりを感じます。監督のこだわりを感じる作品が好きなので、その点でも小津作品はやはり好みです。
あとから知りましたが、やはり小津監督小物1つとっても相当こだわっているようですし、画角から演技まで最初から頭の中に出来上がっていてそれを作り上げていたらしいですね、、、すごすぎる。

主人公の紀子は28歳でまさに今の私と同年代、作中の時代と比べたら結婚に対しての考え方は変わって来ているとは思いますが、やはりまだまだ結婚というものが立ちはだかるようなお年頃ではあります。
なので、その点でもかなり刺さるところもありました。既婚組と未婚組、どんなに仲が良くても学生時代と同じようにはいかないこともあり変化してゆくものですよね。結婚に限らず仕事とか環境の変化もしかり。悲しいこともあるけど、仕方のないことと受け入れていまはいまとして楽しめたら良いんだろうな。
突然結婚を決めた紀子には驚きましたが、それもまた人生と言うか、直感大事、なるようになる。

笠智衆が東京物語と比べてかなり若かったので古い作品かと思いきや、東京物語とそんなに変わらないとか、、、どういうこと?


正直観てから時間が経ってしまったのでだいぶ記憶がぐちゃぐちゃになっていますが、いま観ることができてよかったし、終了後場内拍手喝采で素敵な空間にいられたことも幸せでした。
小津好き!




2023年のうちに書き終えたかったところ、年を越してしまいました。
昨年はあまり映画を見られなかったので、今年はたくさん見たいと思っています。
今年もよろしくお願いします。
素数

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