今村昌平の黒い心、黒いアロエ
2009年8月9日 8時51分
カンヌ映画高等技術委員会賞受賞。
原作井伏鱒二、脚本石堂淑朗。監督今村昌平(脚本も。)。
今村昌平の「戦争」
それはピカドン後、人間の黒い心の変容にある。
ひたひたとにじりよる被爆の恐怖が、生活感溢れる描写から伝わってくる。
また、空襲で逃げ惑う空間の素晴らしい生々しさ、リアルな被爆様子。
北村和夫と市原悦子の動揺、動乱。塊のような黒い死体、途方に暮れる人。音楽、孤高なコンポーザー。
不安な旋律、日本のワンアンドオンリーの音楽家、武満徹。
そして田中好子の存在の素晴らしさだ。
彼女の黒いアロエにまつわるシーンにあなたは何を感じるであろうか?
今村監督は、戦争中より、戦後の一市民に焦点をあてている。
今村監督はのち「カンゾー先生」でも戦中の翻弄医師と市井を描いている。
アメリカの911(ナインワンワン)について、世界の作家が撮った短編映画「セプテンバーイレブン」
今村遺作のこの短編作品では、これまでの今村組総動員の出演陣
戦争集大成的短編をくり出します、大必見。
今村監督は、やはりブレない戦争の黒い人間の姿を描き続けていることがわかります。
被爆という黒い心を植え付けられたある日本人家族の行方
是非沢山の方に鑑賞して頂きたいと切に願います。