みかんぼうや

タワーリング・インフェルノのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

3.9
極上のパニックエンターテインメント体験!これがCGもほぼ無い1974年に作られた映画だと!?と思うほどの大迫力で緊張感溢れる映像と演出に、スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンという大スターのW主演(その脇も豪華キャスト)!観終わった後に「お腹いっぱい!」と思わずにはいられない、まさに“映画らしさ”の詰まった作品。

138階建ての超豪華高層ビルの最上階で、セレブたちがそのビルの竣工式を行っている最中、施工不良によりビルが火事にみまわれ人々が逃げ惑う、という超シンプルな設定ながら、火の海となり燃え崩れる高層ビル、火が燃えうつり転げまわる人間、爆発に次ぐ爆発、そしてアクション映画さながらの超高層階で行われるスリリングな脱出劇といった、場面場面の迫力がひたすらに凄い。160分という長尺ながら全く飽きさせない。それどころか、作品を観ながら、「CG無しでどうやってこのシーンを撮ったんだ!?」という驚きの連続。

その映像と演出の凄さはもちろん、分かりやすいパニックムービーながらも、見栄を大切にして本来守るべきものを軽視する人間の貪欲さや自分可愛しと周りの静止を無視する身勝手さを思いっきり皮肉った内容でもある。

と同時に、その対照的に描かれる自分たちの命の危険を顧みず使命に忠実に生きる消防士たちや正義感と贖罪の念からも人々を救おうとするビル設計者のカッコよさもしっかり描かれており、映画としての見どころは満載。火災時の避難における消防士たちの専門的知識を生かした判断も個人的に観ていてとても面白かった。

本作がパニック映画の金字塔と言われる所以も納得、という作品。しかし、憧れの対象となりがちなタワマン暮らしについて、私は以前から移動の不便さや火事や地震などの災害リスクなどを考えて、実用面から全く興味がなかったのですが、本作を観てますますリスクに目が向いてしまいました。いや、こんなことが起こる可能性など実際は極めて低く、タワマン生活とは縁遠い暮らしをしている人間のただのひがみかもしれませんが(笑)。
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