次男

ディア・ドクターの次男のレビュー・感想・評価

ディア・ドクター(2009年製作の映画)
4.0
「善悪ではない」、いやいや、悪でしょう。まごうことなく。日本人最高の人の良さを持つ俳優が演じてるからわかんなくなってるだけで、悪でしょう。善良なドラマに絆されていちいち揺らいでたら、制度なんて崩壊してしまうでしょう。

って、けっこうはっきりしたスタンスで観てたはずなのに。はずのに!

でもねそんなこと言い出したら、善良なドラマに裏打ちされた例外なんて山とあるでしょう。年老いた夫婦、妻を殺した夫が「最後にあんぱんを食べさせればよかった」と法廷で涙する夫は有罪だし、街中の川に飛行機を不時着させたヒーローが疑われるのも、間違っていないと思う。
すべてのドラマを聞いていたらもう身がもたない、世界のバランスなんて取れないから、もうボーダーのあっちかこっちかだけで割り切りませんか。


…なんて懇願したくなるし、そんな自分の考え方が明らかにされる映画だった。

◆◆

「善良なドラマ」なんて言い方をしたけど、この映画の中に、善良なドラマで意見を傾けるような作為性は感じなかった。あくまで一貫して、問いかける姿勢が、西川監督らしい。構成も見事だし切り取り方も美しいし、そしてタイトルの妙。観終わってからのタイトルで、まんまと頭を抱えた。

◆◆

…けど、個人的に鶴瓶さんにはしてほしくなかった。鶴瓶さんはもう鶴瓶さんやん。自然な芝居をすればするほど、鶴瓶さんに近づいてくやん。八千草さんに野球の見方教えるシーンなんかもうただの鶴瓶さんやん!「真顔の鶴瓶さんって必要以上に怖く見えるよな〜」「まじまじと見たことないけど鶴瓶さんってこんなハゲ方してるのか〜」「うわ鶴瓶さんめっちゃ走るやん!ばたばた走るのう」っつって、鶴瓶さんへの感想が湧き上がってくんねん!
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