グレハニスト森田

白雪姫のグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

白雪姫(1937年製作の映画)
4.2
傑作。

前提として、『アニメーションは7分程度で作成する』が当たり前だった時代に一つの映画作品として完成されたものを作り上げたという試みがとんでもない。
いわゆる「シリー・シンフォニー」シリーズから数年でこんなものができるのかと驚きの連続である。

主役たる白雪姫を差し置き、小人たちの登場シーンが体感で上映時間の半分を占めており、今どきのプリンセスものと一線を画す点である。
王子にいたっては最初と最後だけ出てくるアイコン的存在でしか無い。
実写でできない表現の最たる存在であった小人や感情表現のある動物たちにスポットがあたっているというのはなるほどといったところ。
一方で白雪姫の動きが当時で考えるとオーバーテクノロジー並みに動くわけで、一切の妥協がない。

誰もが知りたるおとぎ話であるがアクション・コメディ・ドラマに加え、ホラー的な展開も包含しており楽しい作品である。
女王の地下室に幽閉された屍の存在の謎なども個人的には面白い。(狩人説推し)

白雪姫のキャラが良い。
王子に迎えられて、さよならと小人の家を去っていく去っていく淡白さ。
あのくらいで丁度よい。

かの高畑勲がアニメーション監督を志したきっかけは「アニメーションでも思想が表現できるから」だったそうだが、この作品がアニメーション
という技法を使った映画を成立させたからと考えると歴史的意義の大きさが計り知れない。
御託はさておいても、動きの楽しさ、音楽の良さ、純粋なストーリィに感動できる作品である。
今じゃ、アニメーションを実写にしようとしてるんだから下剋上だよなぁ。