十一

トイ・ストーリーの十一のレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー(1995年製作の映画)
3.8
おもちゃに吹き込まれたキャラクタとは、すなわち、無数の鏡に写された、子供達自身の分身なのだろう。自分のおもちゃが経験する出来事は、間接的に観客である子供達に強い感情移入をもたらす。それは、住み慣れた家を離れて経験する冒険の楽しさでもあるが、ウッディの嫉妬とバズの失意に代表される、苦い思いでもあり、自然な物語の中で示される、ゆりかごを揺らす庇護の手を離れ、大人になるために必要な痛みの入り口の予感が児童文学の煌きを感じさせる。フルCGアニメに先鞭をつけた作品だが、おもちゃの質感とCG表現の親和性、手描きアニメで不可能なミニチュアスケールでのPOVを厳密なパースで描きうる表現の斬新さなど、企画そのものの的確さもあったのだろう。
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