のっけから心を鷲掴みにするファミコン並のサウンド・エフェクトや8bit調の画面と色調。
これがジョン・カーペンター先生の原点である。
などと仰々しく言ってみたものの、彼の長編デビューとなった低予算自主制作の、チープでシュールなSFコメディ小品。
昔は監督自身が音楽も製作していたりと、より個人的なヴィジョンが色濃く反映されていると考えたら原点という表現もあながち間違いではない。
本作を観るべきもう一つの理由として挙げるなら、『エイリアン』『バタリアン』『トータル・リコール(1990年版)』の脚本を手掛けたダン・オバノン(監督の大学時代の同級生)が脚本・特殊効果・編集等で参加し、出演もしていることかな。
物語は人類が新天地を求めて宇宙に送った5人(1人は冷凍保存中)の宇宙飛行士が、不安定惑星を爆破していくミッションをこなしていく中、機内のある異常により搭載している爆弾の人工知能が言うことを聞かなくなり、てんやわんやするというお話です。
そして付け加えなければならないのは、この作品はストーリーだけ見るとインターステラー的でありながら、70年代のアメリカをそのまま宇宙に持っていったような雰囲気で展開される、ゆる~い、気だる~いSFであるという事です。
長く宇宙に居すぎたクルーたちはやさぐれてヒゲと長髪でヒッピーそのもの。
タバコ、マリファナ、酒、ジャンク・フードにまみれ、部屋の色彩はサイケ調で壁には所狭しと裸のおねーちゃんのポスターが貼られ(殆どモザイク)、ポップでゆるい音楽が掛かる中、ポルノ雑誌を読みふける。そして、とにかく部屋がきっっったない!!ホントに宇宙なの?!
だいたい船内に置いてる日サロマシンはどうやって持ち込んだんだ!w
もはやクルーに呼び掛ける人工知能の声と掛かる音楽がラジオにしか聞こえないよ。(;´Д`)
ストーリーの転換部分に盛り込まれた、何処かの惑星で拾ってきたペットのエイリアンとの長過ぎるやり取り(戦い)はとにかく下らなくて失笑もの(褒めてます)。エイリアンの造形なんて、後に『遊星からの物体X』を手がけるとは思えないクオリティで、スプレーでテキトーにペイントされたビーチボールに中途半端なグロさのモンスター風の手が2本、...って他に無かったのか!!w
人工知能同士のシュールなケンカが楽しめるのも、この作品を置いて他にはあるまい。
作りもシュールなら、ラストももちろんシュール。このラストによって本作はカルト化したようなものだ。
死に対する捉え方も70年代の空気感を象徴し、哀愁を漂わせつつも何故か楽しそうで全体的に陽気。
個人的には冷凍保存されて記憶力が低下した船長とのやり取りがツボでした♪