大学生に成りすました事やそれがばれないための奔走を描くかと思いきや、ごく早い段階で話は思わぬ方向へ。
ジュリー藤尾演じる主人公・大津の浅はかさ、純粋さ、そして残酷さよ(しかし彼が適役)。様々なものに翻弄される彼に対し、船越英二演じる助教授の恭介や伊丹十三演じるリーダーの空谷の、目の前の問題から“身をかわす”その姿勢や頼りなし。
その他学生運動という“現をぬかす”登場人物達の中にあって、若尾文子演じる睦子の伏せがちな、しかし刺すような視線だけが(あくまでも彼女なりに、だが)冷徹に現実を見つめているといえよう。
警察側と学生側
監禁する側とされる側
表の裏はまた表なり
何が気に入らないのか、原作者の許可が下りずに今に至るまでソフト化はされていない。