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新・平家物語のBaadのレビュー・感想・評価

新・平家物語(1955年製作の映画)
3.2
映画『Cut』おすすめ日本映画のトップは溝口と小津なのですが、私はどうも溝口は苦手。時代物の娯楽映画なら名の通った名作より取っ付き易いかな、と思って見てみましたが、手堅い出来ながら、やはり少し苦手な部分がありました。

物語が現代的で、高度成長期の風潮を反映して明るくてよかったのですが、あまりに明る過ぎて、ちょっと・・・という所があったのです。

この映画では清盛の母親とされている祇園女御が、キャラ設定も含めてとても面白く描かれていた事と、時子役にもと華族の久我美子さんというひねりの利いた配役が良かったです。久我さんの立ち居振る舞いやセリフまわしはきびきびとしていてとても綺麗でした。

オープンセットやロケはたぶん京都市内が主だと思うのですが、祇園での乱闘は本当に八坂神社の境内も一部使っているかの様で、それらから醸し出される現在よりも鄙びた風情も個人的なつぼにはまりました。

目立って面白かった事は上の3点と手際の良く情報量が多いオープニングの導入の鮮やかさぐらいでしょうか。

際立って面白い訳でもありませんが、それなりに見所のある作品である事も確かです。

(やはり溝口は苦手かもしれない 2012/5/16記)
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