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白い巨塔のbrianのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.9
医学界の内幕を描いた群像劇。

大学の教授を選ぶために派閥間の駆け引きや策略や賄賂などが行われる展開は日本の総裁選とさほど変わらないだろう。
人間の様々な欲望が絡み合い縺れ合う権力闘争。

冒頭部では実際に開腹手術の映像が流れ作中でも食道を扱うシーンがある。モノクロなのでグロテスクさはあまり感じなかった。むしろ人間の醜い欲望の方が不快な印象を与えた。

主人公・財前五郎役の田宮二郎は傲慢で野心家の男を熱く演じる。段々と厳しい表情に変化して人間味が失われていく様が恐ろしい。
男優中心の作品ではあるが小川眞由美の存在に注目した。陽気なバーのホステスで財前五郎の愛人役を好演。財前に的確な助言をする直感と観察力が印象的。

上映時間は約2時間半の長編であるが、芸達者な役者たちの演技に最後まで集中して鑑賞することができた。

脚本は「日本沈没」「八甲田山」「八つ墓村」などリアリズムを追求した橋本忍。今作も鑑賞後は気が重くなった。
監督は「松川事件」「戦争と人間」「華麗なる一族」など数多く作品を手がけた"社会派"山本薩夫。


「白い巨塔」(1966) 予告編
https://youtu.be/O1-lRN_KPSk
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