【意外とミフネはサブキャラ】
70年前の作品なのに全く色褪せず、そして長尺なのに長いとも感じない。
クセのあるキャラが順番に複数集まって、その個性を活かして強敵と戦う。これ、その後の色々な作品に影響を与えている見事なパターンで、この時点でフォーマットとして完成させているのは凄い事。黒澤明力量に敬服。
考察や解説は色んな所でやり尽くされているだろうからくどくど書いても仕方ないので気づいた事を一点だけ。
本作は敵側の描写がほとんど無い。
これだけ尺が取れるのならば普通は敵側のキャラとか人間性も描きたくなるところだが、そこはほとんど排除し、七人の侍たちと農民のドラマにだけ絞っている。
それって結構普通の演出じゃないと思う。敵の野武士は「悪役」というアイコンだけにしてこちら側のドラマだけを描く。だから農民の苦難やしたたかさがグッと深まって伝わってくる。
侍たち側から見ればヒーローモノでもあるし、組織論や戦術論チームワークなどが描かれているし、見事な群像劇でもある。しかもそこに止まらず農民がしっかり描かれているから作品を奥深いものにしている。敵側が描かれていない分、そこがより丁寧に描かれているので深く伝わってくる。
描きたいところは時間たっぷり取って、必要ないところは極端に削る。うーんクロサワ、お見事です。
サブスクなのに「休憩」があるところはちょっぴりほっこりする。「この間にトイレ行っとこ」って笑。クロサワさん、70年後は自分の匙加減で一時停止して行けます。