チョマサ

七人の侍のチョマサのネタバレレビュー・内容・結末

七人の侍(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

午前10時の映画祭で再見。

演出も最後まで観ていて飽きないし、作品の内容もかなり完成されてるから、ほんとに凄い映画なんだなと、今回の4Kリマスター上映を見て思った。音質も向上していて聞き取りやすい。リマスター様様。

見直してみると、この映画は戦争映画だったんだな。

侍を集めて、堀や柵をつくって砦をこしらえ、百姓を訓練する。戦闘は一人ずつ誘いだして集団で囲んで殺す。
相手を急襲したりと、ガチの戦争をやってるよな。自分の家を捨てる所とか、この年になるとそのことの重大さが身に沁みてきた。当時の家でも作るの大変だよな。

後半の戦闘場面、特に大雨の中の戦闘は見ていて呆然とする。迫力もそうだけど、怖くなって逃げる武士を見てると、何も言えなくなる。

結局は、侍たちは仲間を失うし手柄もない。反対に農民たちは野武士も全滅させたし、戦闘のノウハウを学べたしで得たものも多い。それに農民にはこれから食っていける蓄えとか仕事がある。侍たちにはない。

あと出てくる人間が全員、何かしら悪いことをしてたり立場的に悪いところにあるよな。百姓たちは落ち武者狩りしてるし、野武士たちは米を奪って女をさらう。侍たちも百姓を苦しめた身分だしで、互いを憎む理由を持ってるのが関係を深いものにしてる。そこを妥協して戦いに取り組むから面白くなってくるんだけども。

百姓たちがじつは何でも持ってたり、野武士を襲ったりしてる、良いだけのものにしてないのも、彼らを素直に支持できなくしてて、いろいろ考えさせてる。

あらためて見ると、あの一帯の山々を使って、村を地形も含めて一つ作ったり、侍たちが集まる町を作ったり、ホントに金掛かってる映画だよなと思う。物語は春から田植えをする初夏にかけてで、それを表現するために梅か桜の花を用意したり、梅雨の雨を降らせたりと、そこらへんの表現もすごい。それに風がよく吹くけども、あれは大型の扇風機を使ってるんだろうな。

でも利吉の声が聞き取りづらかったんだよな。三船敏郎の台詞が聞き取れたのには感動しました。菊千代は「来やがった」の連呼に出てる戦闘狂なところや、百姓について語る熱弁とか、すごくカッコいいし魅力的ですわ。どの登場人物も見所あるし魅力的なんよな。
チョマサ

チョマサ