ShiroKyogoku

七人の侍のShiroKyogokuのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.6
子供と鑑賞。

名作と言われているのに、まだ観てなかった。結果、名作と言われるのがよくわかるスッゴい映画でたまげた‼︎
なんというか、映画というものに対する熱意、意気込み、気合が半端なく「どうだ、これこそが映画だぞ‼︎」と上から見せつけられ、ぐうの音も出ない、そんな感じ。
白黒だし、言葉も聞き取りにくい上に、3時間半以上という長い作品にも関わらず、鑑賞後に中1の子供が、めっちゃ面白かったという感想を持ったことでも今作の魅力は間違いないと言える。

最初のクレジットにまずびっくり、斜めとか斬新すぎ!
そして、丁寧に丁寧に時間をかけて進んでゆく物語。
7人集まるまでの時間のかけようったら今の映画にはムリ(笑)

俳優さんは、三船敏郎のコミカルな演技が最高!ちょっと羅生門と露出度が似てる。
あとは、志村喬。和んでるシーンでの自然な笑顔が最高!真剣な顔とのギャップがまた良い。どっかで見たと思ったら、この人も羅生門に出てたね。
そして侍らしさ満点の宮口精二、まるで戦国時代からそのままやってきたんだか、少し下って新渡戸の武士道をそのまま体現したかのような漢の演技!

女性陣、津島恵子の背後から映される登場シーンや島崎雪子の炎の中の不敵な笑みの艶やかさは、その人の1番魅力的な撮り方をおさえてるんだと思った。そして、農家のおばあさん、演技なのかそのままなのかわからないとんでもない迫力‼︎誰この人⁈

落ち武者狩りで得た武具を広げて菊千代の話すシーン、完全に泣いた😢戦国時代の世相をこんなに端的に表現する手法と語りなんて見たことないよ〜

そして、今作の最大の見どころとも言える七人の侍と農民vs野伏せりの対決。
これはもう一体どうやって撮ってるんですか黒澤先生⁈
ぬかるんだ地面の上をロデオのように暴れる馬の動き、乗り主を失っているのに一方向に揃って走る馬たち。とにかく戦闘する人々とそこにいる馬たちの映像が信じられない‼︎
あんな戦闘慣れしてる馬たちを一体どこで見つけてきたんだろう?
リアルの追求ってこういう事言うの⁈
大雨の中、滑ったとこからの立ち上がり方なんかの迫真に迫る演技なんて言葉もない。
久蔵の最期なんて、ほんと一瞬なんだけど、本当に殺されちゃったんじゃないかってほどの動きでビビる!

観ている間もその後も、いろんなことが一体どうやって??と疑問の尽きないとんでもない作品だった。
背景、人物、物語などなどの一つ一つが丁寧だったり、穏やかなシーンでの絵画のような描写、かと思えば戦闘での怒涛の映像。丁寧さと大胆さの共演するする芸術。映画だけに限らないモノづくりの手本といっていいのかも知れない。
そして映画の要素の全部といってもいいようなものが詰まってると言っていいような、これまで観たことのない作品だった。
多分この作品は観る回数を重ねるごとに深い味わいを増すものだと思う。
死ぬまでにまた何度か観て、自分の中での満点な映画にしてゆきたい。
初の今作を映画館で観ることができてホント良かった!

そういえば、今やってる大河の「麒麟がくる」の第1回の明智荘へ野武士が襲ってくるシーンも今作へのオマージュなんだろうと思った。
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