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2046のBaadのレビュー・感想・評価

2046(2004年製作の映画)
3.2
香港映画を劇場で見るのは初めてだったので、オープニングのタイトルバックの文字のセンスの悪さにギョッとなって、これははずれかな?と心配になったのですが、映画ならではの端正な映像と60年代のねっとりとした雰囲気の上手な描写を堪能しました。木村拓也さんは小説の中の登場人物の方はともかく、香港娘に恋をした日本の青年、の方はいかにも60年代で、はまっていました。ウォン・カーウァイの作品はこの映画以前には『恋する惑星』しか見たことがなく、センスはいいけれどとり散らかった映画を撮る監督で、その辺が魅力なのだろう、という印象をもっていたのですが、この映画は取り散らかり方がきれいに整理されている感じで、にもかかわらず、やはり何となくとりとめがないまま物語が続くので、途中で先が見えてきて後半はさすがに飽きました。
この当時の日本も含めてのアジア映画って、もう20分ぐらいカットして整理したら見やすいのに、と思うものが多いのですが、この映画も時間と予算の使いすぎがあだになったのかな、と思ってしまったのは、時間の扱いや設定が少し前に見たオゾンの『スイミングプール』をに似ているような気がして、ついつい途中から比べながら見てしまったせいかもしれません。此方を先に見ていたら両方の映画とももっと楽しめたような気がします。
ちなみに、『スイミングプール』はこの映画とは正反対で、ストーリーテリングや心理描写は巧みなのにきれいにまとまりすぎていて色気に欠けるのです。完成度はあちらの方が上だと思いましたが、本当にどちらを取るかは見る人の好きずきでしょう。
(日本初公開時、ロードショーにて)
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