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ゴールデンボーイのGreenTのレビュー・感想・評価

ゴールデンボーイ(1998年製作の映画)
2.5
この映画ずーっと気になってたのに観たことなかったのですが、1998年なのか!すごい古臭くて、トシを感じる(涙)

スティーブン・キングの原作の背景は1980年代で、サウスLAの高校に通っている16歳のトッド・ボーデン(ブラッド・レンフロ)が主人公。家も裕福で、優等生なんだけど、学校で習ったホロコーストに興味を持ち、色々調べ始める。ある日、バスで見かけた老人がホロコーストでユダヤ人虐殺に関わった戦犯であることを突き止め、この老人の家を訪問する。

この老人はアーサー・デンカーという名前でアメリカ国籍を取ってはいるが、実はクルト・ドゥサンダーという名前で、イスラエルから戦犯として追われている人物。

この老人を演じるのが『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフの印象が強いイアン・マッケラン。

トッドがドゥサンダーを訪ねたのは、実はホロコーストの殺人や虐殺に興味があったためで、ドゥサンダーを告発するぞ!と脅して、ホロコーストでの残虐な行為の話をさせる。

なんかこれって、虐殺とか残酷な行為に異常な興味を持つ主人公を設定することで、本来なら映画で語るのは難しいホロコーストの実態の話をする機会をもうけた感じがしました。

ドゥサンダーはかなりのアル中で、やっぱり殺した方もPTSDを患うのだなあと思いました。

物語はこっから二転三転していって、なんだかまとまりのない感じだなと私は思ったのですけど、全体的に考えると、LAのクリーンカットな裕福な、優等生を絵に描いたような男の子が残虐な殺人に興味を持ち、またその表の顔は維持しながら、裏では思いやりのかけらもないような描写が面白いなあと思いました。

『アメリカン・サイコ』でも白人のエリートがサイコパスだし、こういう人達の方が恐ろしいっていうのは、なんかこう、白人社会って抑圧があるのかなって思いました。例えば『ブルーベルベット』では「白いフェンスに緑の芝生」というアメリカン・ドリームの下には黒い虫が食っている、みたいな表現があるけど、アメリカって臭いものに蓋をして繕っているから、そういうのが変な形で噴出するってことを描きたいのかなあって思いました。

ちなみにトッドのお母さんを演じるアン・ダウドって、『ヘレディタリー/継承』とか、『ハンドメイズ・テイル』で印象的なおばさんを演じていたけど、この映画では金髪の若いお母さんを演じていて「おお~」と思いました。あと、トッドの学校のカウンセラーが『フレンズ』のロス役デヴィッド・シュウィマーなんだけど、マジメな役でちょび髭とか生やしていて笑っちゃいました。やっぱTVシリーズ長くやるとそのイメージになっちゃって、キャリア的にはマイナスですよね~。
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