『青春神話』。原題『青少年哪吒』は作中に出る「ナタ太子」。神話に出てくる武術に優れた青年らしい。てことは邦題にしろ原題にしろタイトルは皮肉ってこと?
全体的に湿度が高めな印象。青年たちが抱える陰鬱とした心情がよく描かれていてすぐに引き込まれた。
物語の中心は、仲間とゲーセンで配線盤を盗んで金にしたり、兄の彼女とイチャつく自由なアザーと、親に抑圧された生活を送る予備校生のシャオカン。普段交わることの無い2人が偶然交差したことから2つの歯車が動き始める。
台湾の首都台北は1990年代前半から民主化が進んで日本のサブカルが流行。新しい文化が栄え、古い文化が廃れる変革期。そんな浮き足立つ巷間の地べたを這うように生きる彼・彼女らに言い知れぬ切なさを感じた。
排水口の詰まりで踝当たりまで浸水したアザーの部屋が全てを象徴しているように思えた。