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ハロウィンのrollinのレビュー・感想・評価

ハロウィン(1978年製作の映画)
4.6
本来なら10月末の渋谷で叫ぶべきやし、使い古されたフレーズやけど敢えて言おう。
「日本よ!これがハロウィンだ!」

後に多くのフォロワー映画を量産させた金型且つ記念碑である本作は、“B級”、“低予算”と彫刻された冠を戴きながら創意工夫によって暗黒の宇宙に活路を見出した我らの王、カーペンター監督による無明逆流れ!これぞ必勝の構え!

冒頭のねえちゃんと早漏系男子による不純異性交遊シーンから既にその先見性が発揮される早すぎたVR体験。ステディカムの導入による撮影効率の爆アゲやブルーライトによる画作りも効果的。
緊張と緩和、スカしによる心理的グルーヴと、監督自身が3日間で作り上げた4分の5拍子のシンセ盤エクソシストサウンドは、木の葉を巻き上げながら独特の異物感で不安を掻き立てていくのでやんす。

死亡フラグの役満の如く堕落している(ように見える)若者たち。いじめられっ子で世間知らずの少年トミーと真面目な主人公ローリーだけが事前にブギーマンを目撃し、庭先に干された純白のシーツの陰から覗く印象的なシーンを筆頭に、彼の大胆且つ辛抱強いストーキング技術による恐怖の積み重ね=なかなか殺さないのに緊張感が持続するという仕様は、アイデアとセンスで予算を超越出来ることの証明でもあります。特に無人のはずの車のガラスが曇っているという恐怖演出は見事!

リメイク前に『遊星“より”の物体X』や『禁断の惑星』をTVで流すという監督のビジョンのブレなさも凄いし、「俺の青春を返せ!」とは決して言わないマイケル・マイヤーズの徹底した記号性、カーペンター監督の演出家としての矜持の象徴にこそ真の恐怖が宿っていることは言わずもがな。

斬ってくださいまし!!
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