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シャインのmiiのレビュー・感想・評価

シャイン(1996年製作の映画)
4.0
息子のピアノの才能を伸ばそうとしている父親の理由は
「自慢できる」から。
自分が叶えられなかった夢を押し付け
敗北者であるかのような卑屈な心を持ったまま
成長できずに頑固親父になってしまったようだ。

「家族」を大事にしているようでも
息子への扱いは まるでパペット。
自分の監視下に置きたいという度を過ぎた呪縛に デヴィットは萎縮してしまう。

そんな父親から留学を反対され
勘当される形で音楽院に進んだ彼は
コンクールでラフマニノフを弾き終えた後に
聖魂尽きて 倒れてしまう。
この曲はとても難関という理由から 父親が切望していた曲。
父親のためだけのこの曲をやり終えた途端に
張りつめて糸が切れてしまったように···

そんな時は 温かく迎えてあげるのが 親というものでしょう。
何故 抱いてあげないのか?
認めてあげないのか?
彼の才能を潰してしまったのは あの父親のせいにしか思えない。

年老いたデヴィットが「許してくれない 許してくれない···」と呟く様が
気の毒でした。

天才的なピアノの才能を持ちながらも
精神を病んでしまって 子供返りのようになってしまったデヴィットの二極性の好演で
ジェフリー・ラッシュはオスカーを受賞。

実在のピアニストであるデイヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いており
彼の演奏は作中で観る事ができます。

辛く苦しい時代を過ごしても
救いになる人物が現れた事で
彼の人生は好転します。

抑圧でピアノを弾く事から解放されて
後半の彼は 音楽を楽しんでいる。
観客のほとんどが歓喜に満ちた顔で拍手を送る様は
涙なしにはいられなかったです。
mii

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