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トンマッコルへようこそのヨウのレビュー・感想・評価

トンマッコルへようこそ(2005年製作の映画)
3.5
朝鮮戦争の最中、南北両軍合わせて5人の兵士たちはお互いに傷付きながら、平和な村トンマッコルに辿り着く。村の大事な食料を誤って手榴弾でダメにしてしまい、収穫を手伝う為に駐留を余儀なくされるが…


南北両軍の兵士が無垢な村人達に接する中で、互いへの偏見や誤解が薄まり、打ち解けあっていく様は微笑ましかった。最初はギクシャクした空気だが、退治したイノシシの肉を敵味方関係なく皆で食べるシーンは本当に心が暖まる。

国家同士が争っていても、目の前にいる個人には遺恨がないのだから、上層部で生じたイデオロギーの壁なんて、末端までいってしまうと案外低いのかもしれない。事の発端を知らされてなかったり、周囲の勢いに飲み込まれたり…
だから目の前の共通の問題に対峙しているうちに、いつの間にか共闘体制が出来上がってしまう流れも、自然に受け入れて鑑賞していた。だからこそ、守りたいモノがお互いに合致した最後の作戦は、とても切なくなる。

鮮やかな草花や緑の平原、美しい旋律など音楽も久石譲が担当してるだけあって素晴らしく、まさしく反戦のファンタジー映画の様に感じた。
争いの当事者でない自分が勝手な夢を観るわけにはいかないが、この素敵なお伽話には希望の種が沢山詰まっていた。
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