世界に誇る日本映画の金字塔『七人の侍』(1954)を西部開拓時代のメキシコに移して描いたJohn Sturges監督によるリメイク作品。
なんのヒネリもないオープニングのタイトルバック。荒野の静止画にタイトルが出るだけ。
ダサイ!もう少し気を配れよ!いくらなんでも手抜きスギル…。
英語も話せないし、何言ってるか大してわからないけども芝居が下手くそだというのは一瞬で見て分かる。
最初に村を襲う盗賊のリーダー格の男カルヴェラの芝居がデカくて気持ち悪い。
「I will back !」の捨て台詞。
ダサい…
シュワちゃん以前に早くもこの台詞が使われているが…残念なことに誰の記憶にも残ってない。
なぜカルヴェラたちは、この村を気に入って何度も来るのか?何を気に入っているの?相手が大人しく従うから?
村の人間も、なぜあの村に固執するのか?草も生えない荒野の村なんて捨てればよくないか?
…と、単純に見てて思ってしまうのだが…
少なくとも村に定住する要素は画面に映さないと!あんな荒野では家畜の餌となる草も育たないだろ?草も生えないということは、雨も降らないだろ?ってことは農業にも向かない…。
じゃぁ君たちは何で暮らしてんの?
野生動物を狩るしかなくね?それこそバッファロー・ビルのように…
『七人の侍』は農業の収穫期を狙われて野武士たちが戻って来るんでしょ?!これって、めちゃくちゃ理に適ってるじゃん!
自然を相手に農業を行ってるわけだから、収穫期は自分たちの都合で動かせられないじゃん!だから、次の収穫期までに何とかしよう!と助っ人を求めに行くわけでしょ?!
次の収穫期のタイミングまでリミットも、ハッキリとしてるし…めちゃくちゃ映画的な流れがスムーズで的確。時間的制約も理由も完璧。
なんで、こういう肝の部分を残さないの?
馬鹿なんじゃないかなぁ?
本作の盗賊なんて気分で戻ってくる感じじゃん!しかもリーダー同士である程度の話し合いが済んでいて、すでに下僕のような主従関係にも見えるし…酒と言われたら酒を出し、葉巻と言われたら葉巻を出し、言われるがまま…。
それらも村からしたら大して痛そうにも見えないのよね…
葉巻や酒なんて、高級品でないの?
君たち村人は一体それらを何と交換して手に入れてんの?村の産業は何よ?何で稼いでるのよ?
それを見せるべきじゃね?
でないと、後にガンマンを雇う時の金も…どこから出てくるのか不透明ですよ?
1人20ドルを、どのように算盤はじいたのか理解できん。
『七人の侍』の野武士の恐ろしさたるや凄まじいかったが…それに引き換え…カルヴェラときたら…コンビニ前でたむろしてるあんちゃんくらいにしか見えないんですけど…
芝居ヘタクソだし、迫力皆無。
ド頭の説得力が超大事なのに…ぬるすぎる。
村にトウモロコシが沢山貯蔵してるのが映る。
ん?あんな荒野にトウモロコシなんかできるのか?大規模な灌漑工事しなきゃ無理やろ?農作業用の水路?とか…そこまでしてるような村には見えない。砂埃しか起きない緑なんて全くない土地やん。
百歩譲ってトウモロコシは作れるとして…盗賊に襲われたばかりやん。なんでトウモロコシは持ってかれないの?バレてないの?なら現状維持で問題なくね?助っ人とか銃とか必要ないやん。
困ってるって口だけ言ってもねぇ。
その根拠となるものを見せないと…
本編が始まって8分で興味を失う。
村の男
「今度、襲われたらそれこそ飢え死にだ」
え?大量のトウモロコシ持ってかれた様子ないけど…
村の男
「村を捨てるしかない」
村の男
「よそへいくのか?」
男
「家はどうするんだ?」
男
「食料を隠しちゃどうだ?」
男
「やつも全部は奪わん。残りで食いつなげる」
男
「もっと残せと頼もう」
男
「やつを怒らせるだけだ。何もするな」
男
「いくら働いても満足に食えない!何とかしよう!」
男
「どうやって?」
男
「わからん…」
男
「………長老に相談しよう」
えぇぇぇぇぇ?!
なぜもっと早く相談しないの?
1回目に襲われた時に相談しようよ!
なんだよこの脚本は!
長老
「戦え!戦うのだ!戦え!」
男
「素手で銃に立ち向かえと?」
侍と違って技術も鍛錬も必要ないからなぁ…
銃を買えばいいだけだからなぁ…
撃つだけだし…技術いらんもんなぁ…
そもそも日本刀を拳銃に置き換えた時点で成立しようがない話をなぜリメイクしたのか?お侍さんにお願いするのとわけが違う。
せめて南部の将校とか、元軍人とか合戦のスペシャリストとかに頼むなら、戦術面で有益になるだろうが…結局は、いくら数を揃えたところで、ただの流れ者のならず者のガンマンだから…ただ命中率がいいぐらいの利点しかないでしょうに…
長老
「銃を買え!国境へ行け!いくらでも売ってる」
男
「銃を買えても俺たちは農民だ。撃ち方を知らない」
いや…引き金を…引くだけやろ…
撃ち方もなにも…狙って撃つだけやん!
長老
「習えばいい。死ぬ気でな」
えぇえ?!はぁ?死ぬ気?これ訳あってる?
刀ならね、間合いとかあるし、修練しないと熟練の人には絶対に勝てないけど、銃に間合いも、なにもないやん。死ぬ気で?隠れながら撃てるやん!銃って…
なんだこの茶番劇は…
死体を埋めるのに、肌の色が違うから白人墓地に埋められないと…
そこにYul Brynner演じるクリスと、Steve McQueen演じるヴィンが…反対派を簡単に撃って終わり。
野次馬たちが大騒ぎ。
つか、町から墓地まで目と鼻の先なのに、わざわざ馬車でカッコつけて行くのがクソだせぇ。
野次馬もみんな歩いてついていけてしまう。
なんだよこのダセえリメイクは…
○クリスの部屋
村の男たちが入室早々に、
男
「あんたは信用できる」
え?はぁ?いきなり?なんで?どこで?そう思ったのよ?
男
「カルヴェラという男が…盗賊で人殺しだ。手下を連れて村の食料を奪い、女たちにも…」
クリス
「そういう話は役人にしろよ」
男
「2度も訴えた。でもいつ来るか分からない盗賊など待てないと…」
男2
「結局、カルヴェラは毎年やってくる。きっと一生続く」
へ?毎年?毎年来てるなら役人の対処できるんちゃうの?
銃は高いから人を雇えと…ガンマンを…
つーことで人集めをするクリス。
まだ村に行くとは返事を決めてないのに人集めはするクリス。なぜ、クリスが手伝おうとするのかも描ききれてない。
こっちは本家を知ってるから、あっキミは勘兵衛なのね。となるだけで…ならず者のガンマンに武士道精神なんかあるのかね?
昔の馴染みのBrad Dexter演じるハリーが仕事があると聞きクリスを尋ねる。
クリス
「宿と食事付きで20ドルだけ。6週間、村を守る」
へ?は?いつ来るか分からないんじゃないの?
6週間はどこからはじき出した答え?
そして20ドルって?村の全財産を集めたものを金にまだ換えてないやろ?それなのに、なぜ一人当たりの予算を決められるの?全く売れない可能性だってあるやん?
ここは、ちゃんと換金する描写がいるんちゃう?
村の広さも見ないで、何人雇うか決めるの?
敵の数だけで決めるの?30人相手にするなら、何人必要なのさ?
七人の侍を知ってるから、7人集めるんでしょ?ってなるけど…これだけ見てたら、よくわからないよね?何人集めたいのか?その理由も!
James Coburn演じるブリットはナイフで決闘してるんだけど…銃もってんのに?敢えて?そんな自信あるなら、銃を持つのやめて、せめてナイフだけにしなよ。
これは宮口精二の久蔵イメージなんだろうけど…
アメリカ社会ではナイフ投げるやつなんかめちゃくちゃ浮いてるやろ…
Horst Buchholz演じる若造のチコが、どうやら菊千代のキャラをやっているようだが、全く魅力がない…
カルヴェラの手下が村に偵察部隊を送るのだが…毎年、完全に無抵抗で従属した村に対して、わざわざ偵察部隊を送るか?
送る必要ないだろ?!
なんで、この時に限って偵察部隊を送ったのか?理由なんてないんですよ…どうせ。
○長老の家
クリスとヴィン。
ここじゃ守れないから、村へ引っ越せと頼むも動かない長老。
長老
「自分らの心配を。支度は万全か?いま来たらどうなる?」
ヴィン
「10階から落ちながら男が言った」
クリス
「なんと?」
ヴィン
「途中、各階の住人に”いまのとこは大丈夫“と…」
字幕が何か読みにくい。
これはMathieu Kassovitz監督の”La Haine”(1995)『憎しみ』(邦題)での冒頭に印象的に使われてた台詞。こんなところが元ネタだったのか…
”Once Upon a Time in... Hollywood“(2019)で、ブラピが飼ってるワンちゃんに合図出す時の、口を片方に傾けてチッチっと舌を鳴らす仕草が印象的だが…
あれをマックイーンが台詞の後にここでやっている。
チッとやって…”feel so good !“
おぉ〜カッコイイ!
○村
盗賊たち登場。
普通に村に入れるんだけど…
まずは村に入れないようにするんじゃないの?
バリケードの壁はなんのために作ったのさ?
クリス
「閉じ込める」
え…村に閉じ込めるの?盗賊たちを?なんのために?えっ?いま普通に面と向かって喋ってんだけど…なんなの?話し合いで解決できるんじゃね?
なにこれ?作戦も戦略もなにもねぇじゃん?
単に普通に正面から撃ち合うだけやん。
閉じ込めると言って、普通に逃げれられてるし…
なんじゃこりゃー!
祝杯をあげようとすると、どこからか撃たれる。
姿の見えないない林から撃ってるということらしいが…どう考えても、そこからこの飲み屋に撃ち込めないだろ?どこから撃ってんだよ?
完全に村の中からじゃなきゃ当たらない角度だろ?
なんで、この状況でラブロマンス入れてくるの?
相手が見えない中でチコに近寄る村の女。わたし想ってます雰囲気をムンムンに出しながら…今じゃなくね?しかも、惚れんの早すぎるだろ?特に何もしてねぇのに…
急に出てってくれ?意味わからん。
食料を渡せば命は助かる?
いまさら?
チコが、しれっと相手方に潜入してんだけど…なんで普通に気づかれずにカルヴェラ達と話せてんの?馬鹿なの?相手は?
クリス
「奇襲をかける。やつらの馬を逃して襲撃の足を奪う」
ん?奇襲して馬を逃がす?奇襲して殲滅させるんじゃなくて?馬を逃すだけ?なんでしょうなぁ…
奇襲をかけに行ったら、盗賊たちの姿がない。
そのまま手土産もなく村に戻ると、カルヴェラたちに包囲されているという謎の展開に…。
そんな馬鹿なことある?
それまで村には誰かしら残してたのに、奇襲のときはガンマンみんなで行くという。
そして村人の見張りは何してたの?寝てたの?
音もなく簡単に乗っ取られすぎる。
なんのための習い事期間だったの?
無策やん。成長してないやん。
クリス
「話し合えるのか?」
カルヴェラ
「もちよ!」
え?できんの?話し合い?
それなら最初にせえや!
カルヴェラ
「話し合おうぜ」
なにを話し合うのさ…いまさら
カルヴェラ
「立場が逆になったな」
なんなの…これ。
カルヴェラ
「銃とベルトはここに置いてけ」
クリス
「村人はどうなる?」
カルヴェラ
「もう、お前らが心配することじゃない。ちょいとした格好つけだ。本当のボスを教えるのさ。ここを出たら返してやる。またオレに銃を向けるようなバカじゃねぇはずだ」
え?どういうこと?
誰に対しての格好つけなのさ?
おとなしく、銃を置く無能の七人。
なにこれ?
すげぇ阿呆らしいんだけど…
素直に荷物をまとめて村から追い出される七人のニセ侍。
盗賊達が、村を出るまで付いてきて、ある程度のところで、ちゃんと銃を返す。
キチンと約束を守るいい奴らなんだけど…
銃を返すと消える盗賊たち。
銃を有り難く返してもらえ、さて村に戻ると…
なんじゃこりゃー!
いい加減にしろー!
え?君たち情けなくねえ?雇われたのに何の成果も出してないやん。
これ銃を返してもらえたの相当運が良かっただけやん。銃を返されなければ、どうしてたの?
盗賊も名ばかりかよ!なんで返すの?売れば金になるやん!マジで馬鹿なの?脚本家は考えたのかよ!?
ジェームズ・コバーンもブロンソンも透明人間から撃たれる…なんともいい加減な殉職シーン。
もう盗賊たちが壊滅してるはずなのに、どこからか撃たれるという。編集の繋がりおかしいだろ?
お涙頂戴を狙ってるのか?
規定人数を殺さないと納得しなかった?
死すべきして死んだならまだしも…
人数合わせの合コンじゃねぇんだからよぉ!
かなりの凡作。駄作。
七人の侍の凄さが際立つことに…ありがとう。