半兵衛

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.8
ベテランになっても作品を通してハリウッドに中指立てて、パンキッシュなインデペンデント宣言をしてしまうウォーターズ監督の狂気と熱意に感動。でも銃で撃たれても死ななかったり、わちゃわちゃはしゃいだり、自分の体にカルトな映画監督のタトゥーを入れたりと大林宣彦監督の作品にも似た悪ふざけなノリが気になったけれどもしかしたらそれもハリウッドに毒されたせいなのかも。

タイトルに「セシル・B」と銘打っているのに彼の作品をリスペクトしないというふざけた作りがいかにも監督らしい、そして色んな映画監督やスタッフの名前が挙がっているのに一番近い作品が名前が一切出てこないビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』(原典ではシナリオライターが女優を通して映画の魔力に取りつかれるが、本作は女優がインディーズの映画スタッフに誘拐されて映画の魔力に取りつかれる)というのが面白い。そして劇中あの映画で有名な台詞も登場するが、やはりその手法で終わらなかった。

ハリウッドで活躍する女優役のメラニー・グリフィスが業界の空気に染まり荒んだ女優を地でやっているのではと思うくらいナチュラルに演じている、本作での起用はやはり彼女の代表作『サムシング・ワイルド』へのオマージュなのだろうか(監督も出演しているし)。

終盤は『殺人者はライフルを持っている!』の要素も、そこからの「反ハリウッドによる映画制作の熱意は醒めない」と高らかに叫んでいるような締め方が熱い。
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