しゃにむ

バタリアンのしゃにむのレビュー・感想・評価

バタリアン(1985年製作の映画)
4.2
「わたしは…学生のころ……バタリアンってありますよね……あの映画…テレビで見た時ですね…ゾンビが人間の脳みそに食らいつくシーン…あれ……初めて見た時…なんていうか……その…下品なんですが…フフ…脳みそにかぶりつきたく……なっちゃいましてね…」(男性 享年33歳)

脳みそが食べたくなったら今すぐ墓場へ行きましょう。

なんだか無性に笑えてくる愛すべきゾンビがわんさか出てくる異色のホラーコメディ。有名ですね。お恥ずかしながら初見でした。邪道の王道。面白いは正義。ひたすら我が道を行く開拓精神。軽々とゾンビ映画の掟をぶっ壊すぶっ飛び具合が爽やかです。

「おいおい、映画で言ってるのと話が違うじゃねぇかよ!」

とまで登場人物にメタな発言をさせるセンスは憎らしいです。ナイト・オブ・リビング・デッドをしばしば引き合いに出します。メタ過ぎィ!でも自分はそういうの嫌いじゃないです。マニアのツボを押さえてるよッ。引き合いに出しはしますが模倣に走らずむしろ独創に独走、独走。ハッハッハ、愉快、愉快。

アホっぽい不良集団とか魅力がたくさん詰まった映画ですが、何よりも登場するゾンビには度肝を抜かれました。普通のゾンビ映画なら首を切断すればとりあえず動かなくなりますが、こやつらはピンピンとしています。ヒェェ…四肢をバラバラにしてもモゾモゾと動いてますがな!うわぁキメェ!(誉め言葉)。どうやら普通の方法ではこやつらを倒すことは出来ないみたいです(最後の一掃シーンはある意味絶句です…やはりそうなるのか)。

自分は最初に出てきた「粋のいい」死体退治にひたすら笑っていました。真っ黄色の素っ裸でいきなり飛び出てきてわさわさと変態的に動き、ゾワゾワするような悲鳴を上げる実に変態的なゾンビ(まごうことなき変☆態)。動揺を隠せない退治する側もオドオドしていていちいち女子みたいにわーきゃー叫んでるから世にも可笑しな光景です。遊びでやってんじゃないんだよ。でも楽しい。「映画と違うじゃねぇかよ!」ナ、ナンダッテー!!だからバラバラにしちゃえってノリがね…サイコーです。こうなりゃ燃やしちゃえって発想ナイス。怪しげな煙がモクモク…街にはバケツをひっくり返したような雨…さてさて愉快な殺戮☆ショーの始まり。一筋縄ではいかぬがバタリアンです。ノロノロ動かない…まるで生者のように走る、走る、走る。さらに奇怪なのはコミュニケーションを取れること。救急車だってパトカーだって呼び出すお利口さんです。でも脳みそはあげません。

「脳みそ〜!脳みそ〜!」なんて愛らしいんだろ。ご飯を食べながら鑑賞すればきっと食が進むこと間違いなしの娯楽映画です。
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