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美しき冒険旅行のmajiziのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
4.0
出だしから不穏な空気。
姉弟がオーストラリアの砂漠でさまよいながら、アボリジニの少年と出会う物語。

60年代〜70年代のいわゆるカウンターカルチャーの影響下にある、西洋文化の見直しと東洋やネイティブアメリカンなどの文化への傾倒を感じました。

大自然で生きる術をもつ少年。
何もできない姉弟は彼に頼るしかない。

灼熱の太陽と様々な生き物たちが何度も映され、厳しくも美しい世界であることがわかります。

空き家と井戸の登場でそれまでの関係性と均衡は崩れる。

ちょっとした文明があらわれただけで、求愛ダンスも虚しく響き、思わぬ結末へ。

差し込まれる壁のアップや都会の風景。

あらゆるものから自由で、全裸で泳ぐことが一番輝いていた瞬間。

社会に囚われているのは子供でも同じことなんだなと思います。

原題のWALKABOUTの通り、通過儀礼をしたのはアボリジニの少年だけではなく、姉と弟にとってもそうだったんでしょうね。
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