うたた寝に恋しき人を見てしより
夢てふものは頼みそめてき
揺れる揺れる手遊び伝って桶が揺蕩う音立てて、ふわり、とぷん、ふわり、とぷん、鬼燈の橙に寄せられて、六道輪廻の道迷い、慈母と羅刹の絡繰に、この先見るもの聞くものも、己が知るもの聞いたもの、二度添いされた新妻の、雫も垂れる洗い髪、絹を解いた跣足に、動悸はいよいよ跳ね踊り、裂けた皮から実も露わ、陽炎立っても這いどころなし。
喰ろうた魂、盗んだ魂、撃ち殺した魂、嫉妬に狂うた魂、墓に添える魂、幾らも売る程御座れども、火を点け灯すその他に遣う道理は御座らんよ。それでも欲しいと仰れば、黒御簾伽藍の奥の奥、覗いて裏を御覧ぜよ。
烟霞に滑る渡り舟、祭囃子の賑やかさ、六道辻の掛小屋に、三つ目の言葉は覚束ず、ようよう認めた無惨絵のかくも土留の赤色も、御簾を隔てた我が眼に映る、我が身彼の夢と逢い為らん。
