blacknessfall

ゴッドファーザーPART IIのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
3.8
実はゴッドファーザー・シリーズそんなに好きじゃない。ギャング映画と言うよりコルレオーネ家の年代記、ファミリー劇場なのが何ともノレない。
ギャングは世襲じゃないから魅力があるんだけど、これは戦国武将の家の話なんだよな、風雲児の先代から地位を受け継いだ跡取りがさらに勢力を拡大していくという。“国盗り物語”かよ笑

好きじゃない理由としてもう1つ大きいのはコッポラの演出やカメラワークが古臭くて大仰でダサいとこ。
良く言えば王道で重厚でしっかりしてると言えるけど、アメリカン・ニュー・ニューシネマの時代であり『フレンチコネクション』や『ミーン・ストリート』のような生々しく鮮烈な暴力表現が花盛りの頃に40~50年代の焼き回しのようなことやってると思うと、その保守性に興醒めする笑

ゴッドファーザーがってより突き詰めるとコッポラがダメなんだよな。これに限らず『地獄の黙示録』も大袈裟に意味深な雰囲気は作るけど、それだけって感じだし、画はけっこう壮大なんだけど、お仲間のスコセッシやデ・パルマの映画みたいに息を呑むほどかっこいいシーンやハッとさせられるカメラワークがないんだよな、自分的に笑

と、ディスってばかりだけど『ゴッドファーザー2』はコッポラの最高傑作だと思う。何しろ前作の続編と前日譚を1本に詰め込み消化不良もバランスの崩壊もなく画き切ってる。これはかなりの離れ業!
時系列が入れ替わり登場人物も多くて下手にやると何がなんだが分からなくなるけど、本当にうまく整理されてるから筋を見失うことはない。保守性の高さの勝利だね笑 トリッキーになり過ぎない。
前作でいやいや一家継いだマイケルがギャングとして大成する度に家族との溝が深まり、押しも押されぬ大ボスになった時には家族の絆を失い虚無なる展開はシェイクスピアの悲劇のような格調がある。大仰なのがプラスに働いたんだよね笑

そんなわけで好みじゃないけど、凄いものは凄いんだということで、再鑑賞してよかった笑

それと、マイケルを裏切り政府のマフィア撲滅委員会による公聴会でマフィアの実態を告白するチンピラがジョー・スピネルだったのに気づいた!
『マニアック』の制作主演した男なのでホラーファン的にもありがたい映画だった笑
スピネル、『マニアック』で見せたマザコン変態キモオタDQNとは全然雰囲気が違った。裏社会の暴力漂わせてマフィアの下部構成員を好演してた笑
blacknessfall

blacknessfall