「おすすめな映画ありますか?」「どのような映画がお好きですか?」「ホラーとかが好きです」って映画好きな方なら一度は経験したことがあるであろう魔の言葉「おすすめな映画ありますか?」は、まさしくホラーみたいな怖い言葉であり、どんな返答をしても、その後の会話に困るという、誰の得にもならない一言。
いざ「ホラーとかが好きです」って返答が来たときは「ミザリーおすすめです」と伝えることにしようと確信した本作です。
さあそんな訳で本題へ。
本作は帝王スティーブンキングさん原作ということだけど、超能力や怪現象は出てきません。
ここにあれ?いつもと違くねえか?となるのです。
主人公のポールの職業は作家。キングさん自身がなにか思うところがあったのでしょうか。
観ていて思うのはこれ1990年製作なんだよね?ってこと。
全く古く感じさせない(この手の作品の到達点みたいなもんでしょうかね)。
この頃なんて、まだストーカーやサイコパスなんてあまり一般的でなかったと思うのに、きっちりと描ききっているし、終始「やばいなこれ」感が漂っている。
言うまでもなく、本作の「やばいなこれ」感はアニー演じるキャシーベイツさんの凄まじさがぶっとんでるし、最初のブチギレするところで文字通り”びくっ!”となって、しゃきっとする。
この入り方が非常に上手い。ポール同様、目が覚めるというか「こいつやばいだろ」って疑いの目(怖れ)でアニーを見ることになる。
そこからの、ブタの真似をするところで、あれ?アニーかわいいの?ってなったり、おしっこちゃぷちゃぷされて、そうか、アニーはポールをペットのブタのようにしか見ていないんだ!って分かる。
アニーシュチャガンティ監督さん作品"RUN"っぽいなと思ったらオマージュあったんだ!
そもそものシチュエーションとか薬とか似てたりもするし、確かにオマージュを感じますね。
本作で1番秀逸なのは、なんでコピーのこと言うんだよ!、、と思わず激怒しそうになったけど、そこからのなるほど、なるほど、、ってなったあの流れ。
上手いよな、さすがキングさんだよなと惚れ惚れしてしまったけど、実は原作を多少脚色しているらしく(原作未読なので詳細は知らんけど)、本作の脚色もかなりのできみたい。
煽てるやり方は非常に有効だけど、見ていて悲しくなってくるし、まさに”ミザリー”といったところでしょうか。
つっこみどころは多数あれど(いやいや明らかに間に合わんだろ!、いやいや良く物音に気付いたな!、なんという生命力なのよ!とかね)、それは置き去りにできるくらいに、一気に観ることのできる、一見普通の人間が実は、、みたいな話が好きな方にはおすすめしたい作品でした。
最後に先日、本作の主演であるジェームズカーンさんがお亡くなりになられたとのこと。
ご冥福をお祈りします。