すがわら

太陽を盗んだ男のすがわらのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
5.0
 長谷川監督は城戸誠を昔の自分だと言っていた。国会議事堂に忍び込むとき女装するのは監督自身が女装に凝っていたから。監督曰く「オレの女装は結構かわいい」
 城戸誠が原爆を作る動機はおおっぴらに説明されたりしないが、言外に示唆されるのは「如何にして鈍重な日常に風穴を開けるか」ということ。少なくともそう解釈するに足る描写が散見される。このテーマは猛烈に70年代的で、非常に強い時代性を帯びている、がしかし同時に極めて普遍的でもある。いつの時代でも、日常を壊してやりたいと思ってるダメな野郎はごまんといる。

 長谷川監督は自身の映画を「毒×痛快 一瞬の涙」と評している。激烈な毒が痛快に暴れまわり、そして一瞬泣くのだという。監督の分身であり、そして我々観客の分身である劇毒・城戸誠が一体どこで何に対して一瞬泣くのか、それこそがこの映画から元気をもらえる所以なのだろう。
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