橘宏樹

セレンディピティの橘宏樹のレビュー・感想・評価

セレンディピティ(2001年製作の映画)
3.1
積み上げた愛は否定される浮気映画。この浮気は脚本の工夫による正当化すらされない。なぜならそれは幸せな偶然だから。運命だから。

ていうか偶然が続くと運命なのかもって舞い上がるよね〜!あるある〜!を真面目に映像化しちゃった。国も人種も問わずそういうトピックあるんだね。無信仰な文明の支配下にあるとなおさら振り回されるのかも。

愛が偶然でたまるか。

そして男も女も、迷いと模索の手間に親友を付き合わせる。振り回す。僕にも親友はいると思うけど、こんなに私事にとことん付き合わせるようなことしたことない。でも時々この時代のハリウッド映画というかアメリカ映画にほんとよく出てくるよね。いちいち付き合いのいい、涙流してハグし合い、背中押してくれる、優しくておしゃべりな友情。

そもそもこの時代のハリウッドといえばトレンディラブコメの主人公の男はとにかくおしゃべりなんだよなー。ハートオブウーマンのメルギブソンとかもさ。女の子がとうとうクスリと笑顔を見せてくれるまで話しかけ倒す。めんどくせえー。だけどちゃらくて軽いから見てて疲れないのでOK。

あと何よりも、主人公の男に捨てられた花嫁がただひたすらかわいそう。何ら非がない。こういう時は、なんか適当に、不和の元とかを彼女側にも非が少しある風に作って、浮気相手が居なくても、別れに至る必然性がある風にすることで、ヒロインをかばう、主人公カップルを守る脚本も多いと思うけど、何にもない。数年前に数時間会った女が忘れられないという理由を告げられたり、式をキャンセルされて惨めに傷つくシーンすら設けられてない。まさに目も当てられないからだろうね。スジ上よくそこジャンプできるよなー。まあジャンプしないと全然ラブコメとしてまとまれないけどね。マジなんなんだ。

ただケイト・ベッキンセールのミニスカはすごい破壊力であることは確か。この時代の彼女の目元やシルエットや佇まいは、トレンディなアイコンの女優たちのいいとこ取りで出来てる具合。
橘宏樹

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