荒野の狼

親鸞 白い道の荒野の狼のレビュー・感想・評価

親鸞 白い道(1987年製作の映画)
2.0
親鸞とその家族が、鎌倉時代の貧しい民と宗教弾圧の中、苦悩する姿を描く140分の長編。極めて難解で、時代背景は、源実朝の暗殺が描かれているので、その前後のことと推察されるが、説明抜きに、当時の政治の状況と宗教弾圧が語られており、天皇家や公家の歴史上あまり知られない名前が会話に次々に登場する。主な登場人物は、親鸞とその家族以外は、どういう人物なのか説明がなされていないので、人物関係が理解できない。
土着の宗教とのかかわりにも時間が割かれるが、その呪術的なシーンは多く描かれるものの、基本的な説明がなされないので、最後まで、土着宗教やそれにかかわる差別階級に所属する人の当時の位置づけなどが理解できない。
主人公の親鸞は善信という名で呼ばれるので、その人物が親鸞だとわかるのにも時間がかかり、親鸞の生涯の数年のみを描いているようだが、年齢も不詳。セリフも不明瞭で聞き取りにくく、親鸞の宗教観もほとんど語られていない。
鎌倉時代の貧しい階級の悲惨な生活と宗教弾圧の悲惨さを描くのには成功しているが、斬首のシーンなどがあり鑑賞は中学生から。三國連太郎は俳優として出演しておらず、主演の森山潤久は印象が薄く弱々しいが、妻役の大楠道代は好演。題名の意味の説明はない。親鸞の宗教観と人物史の映画として見る人には不向き。民衆の困難な生活や映像美に関心のある人にはよいかもしれない。
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