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アルゴ探検隊の大冒険のrollinのレビュー・感想・評価

アルゴ探検隊の大冒険(1963年製作の映画)
4.7
亡国の王子ジェーソンは黄金の羊の毛皮を手にするためにオリンピックを開き強者を集め、女神ヘラの船首像を逆向きに付けたまま世界の果てを目指すのでした。

モンスター創造のエンジニア、SFXゼウスことレイ・ハリーハウゼンのダイナメーション最高傑作!僕のダディーが子供の頃大好きだった映画でやんす。

SWや大魔神にも共通する貴種流離譚の神話的構造。てかもろギリシア神話を律儀に脚色した物語は、贔屓目に見ても荒唐無稽すぎるし、カットのサイズやモンタージュも大味で緩慢。
しかしそんな人間パートの鑑賞に辛抱強く耐え抜いた観客だけが得られる青銅の巨人タロスや怪鳥ハーピー、七つ首のしめじ竜ハイドラ、そして本作の主役である七人の髑髏剣士たちが登場し、躍動するシーンのご褒美感!トリトンが生身の人間なのは仕方ない!

印象的なのは人間と神々の間に於ける20年という歳月の体感差の演出。この容易いようで困難な映像表現を、やっぱり容易く演出してしまう辺り本作はSFX以外にも底知れぬポテンシャルを秘めているのでやんす。

スポンジゴムで骨格を覆った他のモンスターが早く腐敗したのに対し、髑髏であるが故に繊細な肉付け作業が要求され、ラテックスを浸した綿で作り上げた剣士たちが一番長持ちしたという実話。その人形の関節球を作ったのがパパ・ハリーハウゼン氏というエピソードにはほっこり。
父から子へ、ギリシア神話はスペースオペラになり、これからも物語は受け継がれていくのだす。
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