めしいらず

グロリアのめしいらずのレビュー・感想・評価

グロリア(1980年製作の映画)
4.1
これまでに観た映画の中のカッコいいキャラクターについて考えるとき、例えば「レオン」のレオンやスタンだとか、「第三の男」のハリー・ライムだとか、「勝手にしやがれ」のミシェルだとかを差し置いて個人的に真っ先に思い浮かぶのが実は本作の主人公グロリアだったりする。ギャングに命を狙われている友人一家から男の子を託されたグロリアが、組織の追跡を拳銃片手にかいくぐりながら、かつて愛人関係だった組織のボスに直接交渉しようとアジトへと乗り込むが…。グロリアが大股に早足にカッカッとハイヒールを鳴らし、手慣れた様子で煙草に火をつけ、ギャング達を相手に一歩も怯まず挑発し、少しも躊躇わず弾丸をぶっ放していくさまが実にキマっていて、名だたるハードボイルドの主人公らが霞むほどの痺れるようなカッコ良さ。煙草と拳銃が世界一似合う女優はジーナ・ローランズを置いて他にないと勝手に思っている。大人ぶる男の子が彼女の前だと変な色気が出ているようで、どう見ても母と息子みたいな二人のはずなのに、どこか恋人関係のようなニュアンスも含まれているのではと勘繰りたくなる。しかし彼女にいいように罵られやられっ放しであるギャング達の体たらくよ。大都会ニューヨークの汚れた風情が点景としてとても魅力的。タイトルバックも印象的。もっとカサヴェテス作品を観たくさせるのに、せっかく録画しておいたDVDが悉く再生不可であるとは一体何事か…泣
再鑑賞。
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