NORA

ミストのNORAのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
4.9
ラストが超有名な一作。ネタバレ非推奨。無論、初見時のインパクトも相当なものだが、むしろオチを知ったうえで2度目に鑑賞したときこそ、あなたは本当の地獄を体感することになる。なぜなら、本作は「選択」をめぐる物語であるから。主人公は、あるいは他の登場人物たちは何を「選択」し、それがいかなる「結果」をもたらしたか。その結果に対し、どう「責任」を負うことになったか。スーパーマーケットに閉じ込められた全員がこの構造に絡め取られていると気付いたとき、あなたは悟る。主人公とともに「正気」を保ち、「正しい」側にいたはずのわれわれ観客こそが、この物語に最悪の結末をもたらしたのだということに。ゆえに、傍観者から当事者へと視点が移動した2度目は最初から最後まですべてが地獄。「正しい」選択が、「正しい」結果をもたらすとは限らない。その非情な現実は、一見正反対の行動を取った主人公にもあの憎らしい宗教ババアにも等しく降りかかる。そこには忖度も慈悲も救いもない。まさしく「地獄への道は、善意で舗装されている」のだ。
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