コーカサス

太陽の中の対決のコーカサスのレビュー・感想・評価

太陽の中の対決(1965年製作の映画)
3.6
原住民のアパッチ族に育てられた白人ジョン (ニューマン)は、遺産で馬を買おうと新天地を目指し駅馬車に乗り込んだ。
ところが、乗り合わせた客の大金を狙う強盗団の襲撃に巻き込まれ、ジョンたちは悪人たちと対決することになる。

『長く熱い夜』『ハッド』『暴行』などで知られるリット監督とニューマンが組んだ異色の西部劇は、彼らのコンビ作の中でも最も地味な作品かもしれない。
ニューマンの寡黙と云うより無愛想なキャラクターは、どちらかと云えばマックィーンに適した役柄にも思えた。
しかし、いざ蓋を開ければ反省である。差別や偏見、富や名声への執着を色濃く描いた物語は、次第に彼の魅力を存分に引き出していく。

散々、白人に虐げられてきた原住民が、ひとつ馬車の中で偶然にも遭遇してしまったトラブルにより、“都合良く”頼られ役として祭り上げられる矛盾と皮肉。

「彼女が心配なんだろ?助けに行け。
でも2人で戻ってくる時きっと撃たれる」

ジョンの言葉に怯む事なく、仲間を助けに行こうとする白人を見た時、初めて彼は自らの身を投じる決意を固める。
それも身勝手な“白人のために”。

人が本来あるべき姿とは、どんな姿だろう。
人が人を助けたいと願う想いに、人種の壁などないはずだ。
ニューマン演じるジョンが身をもって教えてくれた。

273 2020