弁護士の史朗(西島)とその恋人で美容師の賢治(内野)の、ほろ苦くもあたたかい日常と、日々の食卓風景を丁寧に描いた人気ドラマの劇場版。
ドラマ未見ながら、終始心地好い時間と空間を味わえる秀逸な物語であった。
物理学では、時間と空間は一体と考えられ、ともに“伸びたり縮んだり、曲がったりする”と考えられているが、それは恰も彼らの日常と関係を示しているかのようだ。
ひとつ間違えば下品になりかねない際どい設定も、これだけ安心して見ることが出来るのは、西島と内野という俳優らが演じる芝居の上手さがあってこそ。
“きれいだなって、隣の人に言えるっていいな”
個人的にはロケ地となった新小岩のアーケード商店街ルミエールが愛おしく懐かしい。
遠い昔、“きれいだなって”言える人とよく買い物に出掛けた商店街も、今は良き想い出。
たとえきのう何を食べたか忘れても、本作で観た史朗と賢治のステキな関係と、筆者の胸に今もあるあの日の想い出は忘れない。
102 2023
