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ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃の3104のレビュー・感想・評価

3.1
本来はシリーズ最終作の予定だっだという『怪獣総進撃』に続く10作目。
映画業界の斜陽化等の理由から今作は「東宝チャンピオンまつり」の1プログラムに組み込まれ、予算も大幅減額。
これまでの、やれX星だ国連科学委員会だとスケールを感じさせる設定から一気にスケールダウンし、鍵っ子の小学生が夢の中で怪獣島に・・という、小さく閉じたシチュエーションで物語が展開する。

ところがこれ、いわゆる「ジュブナイル」として観るとなかなか悪くない。怪獣島の案内役に「イマジナリーフレンド」的な存在としてミニラを配して少年の島での立場を確保し、島で見たものが夢から醒めたあとの現実に活かされるという構造。ひとりの少年の成長譚に怪獣、(現実パートでの)強盗、いじめっ子、理解ある変わり者の大人・・等が絡みながら、ありきたりな流れながら爽やかに70分(シリーズ中最短の上映時間)で物語を描き切る。

しかし肝心要の特撮パートがいかんせん物足りない。
予算削減の影響をまともに受けたのか、新怪獣ガバラ絡みのシーン以外はほとんど全てが近作からのライブフィルムでしのいでいる(なのでゴジラの顔=造形が場面ごとに変わる)。70分という短い作品なのに、だ。
予算をたくさん使い、新造の怪獣を何体も出せる時代は終わった。ここから昭和ゴジラシリーズは従来の「マンネリ」に加え、「低予算」との戦いも強いられてゆく。

現実パートの舞台は川崎市。工場の煙突からもうもうと煙が立ち上り、くすんだ街並みが伺えるのはゴジラシリーズとしては珍しい。次作『ゴジラ対へドラ』では環境問題をある意味真っ向から描くが、作品全体がサイケがかっているせいか“撮影当時の市井の風景感”に乏しいので、こういった風景描写が「ノンSFフィルター」で観られるのは実はこの作品だけなのかもしれない。
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