たく

ミツコ感覚のたくのレビュー・感想・評価

ミツコ感覚(2011年製作の映画)
3.8
山内ケンジ監督らしい会話劇で、冒頭からストーカーっぽい男がミツコにしつこく纏わりついてくる嫌な導入に始まり、全編通して何とも言えない気持ち悪い肌触りが独特だった。

ミツコの周辺人物が一見普通っぽいのに何かズレてる感じで描かれるのは山内監督の他作品と共通してた。全体にセリフが可笑しいのにすごく自然に流れるのも特徴の一つで、邦画においてこれは貴重。女優の演技がみんな素晴らしいのもいつもながら。話としては「友達のパパが好き」のベースになってる感じで、松原が女性にだらしなくて優柔不断な感じとか、ラストにカタストロフィが訪れるあたりは同じ演出だったね。真昼間から缶ビールを飲む描写が何度も出てくるのが、ミツコの憂鬱な気分を象徴してるみたいだった。

ストーカー男が小柄でにこやかなんだけど、昨日観た「透明人間」と被るだけに画面に登場するたびにゾッとして、後半で本当に悪い人ってわけじゃないことが何となくBGMで示されるまでは安心できず。あと、入賞した写真の人物が一瞬別人になるラストは、あの場面でミツコが脳内で父親をお仕置きしてたってことかな?それで「ミツコ感覚」なのか。
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