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恋の罪のbutasuのレビュー・感想・評価

恋の罪(2011年製作の映画)
1.5
この内容で140分超は長い…そして時間の無駄だった…残ったのは疲労感…。

まず、水野美紀と津田寛治以外の役者の演技がキツすぎる。水野美紀は安定しているし(こんな映画であそこまで身体を張る必要はないのにめちゃくちゃ頑張っていた)、津田寛治はいつも通り気持ち悪くて嫌な野郎で素晴らしかった。その他がキツい。

まず神楽坂恵。園子温の妻+身体を張れる要員としての起用なのはわかるが、メインを務めるにはあまりに演技がおぼつかない。手足が短いのにグラマラス=スタイルが悪いのにエロい体つきは役にぴったりではあったが。全裸の彼女が鏡の前で「試食いかがですか」を繰り返すシーンはゾワゾワして好き。

そして冨樫真。これは非常に難しい役。正直、彼女のキツさのせいで中盤から後半にかけては観続けるのが苦痛でしかなかった。神楽坂恵もそうなのだが、明らかに覚えた台詞を読んでいるような芝居がかった口調が本当にキツイ。演技の緩急を声の大きさと高さだけで表現しようとする。舞台がメインの人らしいが、こんな難役ができるような器ではなかったのだと思う。彼女が登場してからは、彼女と神楽坂恵との問答のようなやり取りが何回も何回も繰り返される。後半はほぼこの二人のやり取りに終始すると言っても良い。それだけに、もう観ていられないレベルで辛かった。ヒステリックに喚き散らすことや低い声でボソボソ喋ることが狂気の表現だと思っているのなら大間違い。舞台ならあのくらい大げさにやる必要があるのかもしれないが、映画であの表現はただただエキセントリックで観ていて不快でしかない。ひどく疲れた。

あと小林竜樹という人も。これも重要な役どころのはずなのだが、とても残念だった。見た目はそこそこ独特な雰囲気を放ってはいるのだが、演技自体が全然ダメ。こちらも狂気よりも不快感を感じてしまって無理だった。

話の作り方自体も、率直に言って下手くそだと思った。序盤、貞淑な妻がAV落ちしていき自信をつけていくあたりは中々良かったのに。途中で冨樫真が演じる狂った淫乱おばさんが出てきてからは急につまらなくなる。何というか、後半に向けて作品自体の狂気とテンションがぐんぐん上がっていくのに対し、観ているこちらのテンションはぐんぐん下がっていっている感じ。一体何を見せられているんだ、という疲労感だけがぐったりと溜まっていく。エロシーンばかりなのだが、全くエロくなくてひたすら下品なんだよなぁ。わざとなのはわかっているが、余計にイライラが溜まっていくのも事実。「不思議なことに、男はただでやらせる女より、金を払わないとやらせない女の方を蔑む」という台詞はちょっと面白かった。あと水野美紀の使い方も非常に中途半端。もうちょっと上手く本筋に絡ませられないものかね。
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