荒野の狼

エージェント・マロリーの荒野の狼のレビュー・感想・評価

エージェント・マロリー(2011年製作の映画)
3.0
総合格闘家のジーナ・カラーノが主演した2012年公開のアメリカ映画。94分の内容だがスピード感はあり、ストーリーはやや凝り過ぎていてわかりにくいが、展開が読めてしまうような脚本ではなく、この点は評価したい。格闘シーンはリアリティがあるが、暴力シーンは穏当で全年齢層の視聴に適当。本物の格闘家が映画に出演することは珍しくないが、女性の総合格闘家のアクションは珍しい。ジーナは173㎝あるが、本作で闘う相手は、すべて一回り大きな180㎝くらいの男性である。女格闘家との対決がなく、また、自分より格段に大きな相手との対決もないなど工夫に欠ける。ジーナはムエタイ選手であるため、しなるような蹴りは力強い。関節技として十字固めと三角締めが効果的に使われており、実戦で使われるのを見るのは新鮮。しかし、複数のファイトは、おおむね同じ内容で、主に壁に叩きつけるのが、蹴りやパンチよりも有効になっているところに特徴がある。しかし、壁に押し付けるといった技は、相撲取りのような大きな格闘家の技としては説得力と魅力があるが、ジーナの特性は生かされていない。ジーナの最後の試合は2009年であるが、1982年生まれであるので、本作では30歳とまだ若い。アクション俳優として、ユニークな存在になると期待したいところだが、差別的で不当な発言が多く、テレビ番組から降板させられたりしている。ジーナの言動は、アクション映画の主役にはふさわしくなく、実際の彼女を知ってしまうと、実像とかけ離れた映画を見るモチベーションが湧かなくなってしまう。2023年現在、40歳と、まだ若いだけに惜しいが、差別発言が許されないのは言うまでもない。
なお、本作には、マイケル・ダグラスが短いシーンで出演するが、役割としては大きくなく、もったいない使い方。
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