真っ黒こげ太郎

キック・オーバーの真っ黒こげ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

キック・オーバー(2011年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

メル・ギブソンの 青春ならぬ刑務所グラフィティ!!!

メキシカンな犯罪地獄でデカいヤマと少年の命を掴め!!!



マフィアから大金を強奪するも逃走に失敗し、警察の御用となった男、通称「ドライバー」。
彼はメキシコの領地で捕まった事から、汚職警官に金を奪われてメキシコの刑務所「エル・プエブリート」に収監される。

世界最悪の刑務所として名高いその場所は、金さえあれば女もヤクも手に入る(脱獄以外)何でもアリな犯罪者の楽園だった!!!
ドライバーは持ち前の泥棒スキルでムショに馴染んでいく中で、「キッド」と名乗る一人の少年と出会う。
キッドは刑務所長の臓器ドナーとして狙われていたのだ。

色々あって意気投合したキッドとドライバー、彼らは生き残りと自由と大金を賭けて命懸けの大勝負に挑む!!!



”犯罪者の楽園”と称された刑務所を舞台に、大金を奪われた男の大金奪還と刑務所脱出を描いたクライム・サスペンス・アクション。
主演は「リーサルウェポン」シリーズや「マッドマックス」シリーズでお馴染みのメル・ギブソンさん。
(そういえばギブソンさんの主演作、初レビューだ!w)


本作を手掛けたエイドリアン・グランバーグ監督の「ランボー ラスト・ブラッド」が愉快だったので鑑賞。
何でもグランバーグさんはギブソンさんの監督作や主演作で助監督を務めて、本作が初長編監督デビュー作だそうで。
(地味にエクスペンダブルズ・ユニバースだ!w)

そんな初監督作は、何でもアリなメキシコの刑務所を舞台にしたケイパームービー。
しかも、舞台になった刑務所は2002年まで実在していたというからビックリ!!!
って、この頃からメキシコネタなのか!グランバーグさん!w


さて本作、内容的には結構荒い所や強引な所も多いし、説明不足で誰が誰だか分かりにくい所もあったりします。
ですが、それを差し置いても結構楽しめました。

お話は無法地帯に入れられた主人公がドロボースキルを駆使したり、母子と知り合って仲良くなったり、ギャングや元警察や汚職警察と駆け引きして、どーにかこうにか自由を手に入れようとするお話。

脚本自体は割と乱暴だし、主人公がメチャ強&万能でご都合主義が目立つ場面も多かったりする。
(監督の次回作が”ランボー”なだけにってか!w(やかましいわ))

しかしそこに目をつむれば、話の流れは軽快でテンポも良い。
自由すぎるムショ内の砂煙舞う泥臭いメキシカンムードも愉快だし、メル・ギブソンさんもカッコ良かったので、何だかんだでノリノリで楽しめた。
汚職警官やギャング、マフィアを相手にしつつも豪快かつ大胆かつスマートに立ち回るギブソンさんの雄姿は見てて痛快。


ドラマは説明不足や荒さは目立つが、主人公が話の本筋に関わる子供とその母親と交流を描くドラマが良い。
悲惨な人生を辿っている少年が主人公と出会い、最初はあーだこうだありつつも母親と共に仲良くなる展開は、ベタだけど爽やかで良い。
母子の悲惨なドラマもしっかり描かれており、2人を脅かす外道連中を倒すカタルシスを十分味わえる。
クライマックス、主人公が目当ての大金を目の前にしつつも、命の危機にある少年を助けに向かう場面とか結構グッと来ます。
ラストは敵を全員倒し、主人公達も目当ての物を全部ゲットしちゃうやりすぎレベルのハッピーエンドも突き抜けてて最高でした。w

アクションシーンの演出は手堅く普通レベルで、数もかなり少なめだが、スローな場面での西部劇風の銃撃戦や、やたらスマートすぎて笑う暗殺シーン等、要所要所の絵作りも悪くない。


内容はテンポ良く、主人公もカッコイイ、ドラマも見ごたえありと全体的には楽しいのですが、やはり分かりずらい箇所が多かったり、荒い場面が多かったりするのは気になる所。
(特にラストで死ぬ男、なんで殺されたのか分かんなかったけど調べて見直してようやく理解できた。w)
そこら辺が分かりやすく、整理されていればもっと良かったんですけどね。


とはいえ、お気楽なケイパー物として、気楽に楽しめました。
過度の期待は禁物だが、肩の力を抜いて見れば割とイケます。w