真っ黒こげ太郎

ホース・ソルジャーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
4.2
9.11直後、敵勢5万人に対し、たった12人で戦いを挑んだ米軍騎馬隊(グリーンベレー)。

武器は魂と馬。



2001年9月11日、アルカイダによるアメリカ同時多発テロ事件が発生。
翌日、米軍はアルカイダへの反撃を決定する。

ミッチ・ネルソン大尉率いる特殊部隊「ODA595」に与えられた任務は、12人の少数精鋭でアフガニスタンへ乗り込み、地元の反勢力の軍隊と共に、テロ集団の拠点マザーリシャリーフの街を制圧する事。

味方勢力と合流し、地元にたどり着いた特殊部隊だったが、アルカイダの軍勢は5万人もおり、完全武装で待ち構えていた!!!
しかも彼らはアメリカ兵士達に多額の懸賞金を賭けていたのだ。

彼らは味方軍の将軍から与えられた”馬”と共に、壮絶な戦いに挑む。



約5万人のタリバン軍に対し、わずか12人の米軍(と同盟軍)が馬に乗って戦ったアメリカ陸軍特殊部隊員の実話を描いた戦争映画。

主演は「マイティ・ソー」シリーズ等で有名なクリス・ヘムズワース氏で、制作に「トップガン」シリーズや「ブラックホーク・ダウン」等で知られる娯楽映画の雄、ジェリー・ブラッカイマー氏が関わっている。


何となくネットで予告編を見たら火薬のドンパチが多そうだったのでレンタルし鑑賞。
…そういうノリで見る映画じゃあないというのは重々承知だが、それでも俺は火薬のドンパチを見たいんだ…!


自分は元となった小説や出来事は知らないので、何処までがフィクションで、何処までが実話なのかは分からん。
しかし、内容は「地元の味方軍と共に敵のテロリストと戦う」という分かりやすい物語で、迫力のあるドンパチ戦闘シーンを楽しめる、良い映画でした。


前半は現地へ向かい兵士や現地の軍との作戦が描かれ展開的には地味目。
戦闘シーンも幾つかあるっちゃあるが、基本的には味方軍の将軍とのいざこざや意見の食い違いなどがメインで、そこら辺はやや盛り上がりに欠ける出来。
ヘムズワースさん演じる勇敢な主人公や、一枚岩ではない友軍の将軍等は良かったけどね。

しかし、中盤からは「何だかんだで助けに来た友軍」や「勇敢な主人公と共に戦う友軍」といったやけに漢気溢れる展開へとなだれ込んで行き、激しいドンパチアクションが繰り広げられる。
味方の負傷兵とかも出るっちゃ出るが、戦争映画にありがちな悲壮感は殆ど無く、スッキリした内容になっている。
(ラストも清々しいまでにハッピーエンド。)

ここら辺は戦争映画で真面目に社会のアレコレを語りたい人には不満のありそうな内容ではあるが、個人的には火薬大目兵器のドンパチ多めなミリタリーアクションを見たい自分にとっては見やすいのでオッケーだ。
(そこら辺はエンタメ重視なブラッカイマーさん印なだけある。)


戦闘シーンは後半に固まっているが、後半まで待たせただけあってドンパチシーンは見事な出来映え。
馬に乗りながら敵地に突っ込んでドンパチするクライマックスは、かなり荒唐無稽な映像ではあるがベタであるものの絵的にキマっていてカッコいい。
(欲を言えば馬を活かしたアクションとかがもっと欲しかったが…。)
圧倒的な火薬量で描かれる空爆シーンや、グレネードやロケラン、手榴弾に戦車砲にミサイルも炸裂する戦闘シーン等、火薬指数やドンパチ指数的にも文句ナシ。
(CGやVFXも多く使われているかもしれないが、違和感ナシ。アクション映画におけるCGの正しい使い方だ。)
監督はCM畑の人みたいで、撮り方もスマートで絵的にも決まっていた。


難点としては、アクション映画的にはアクション描写もストーリーの内容も”よくある内容”止まりでしかないのがやや残念。
”馬に乗って戦う兵士”と言っても基本的に馬を乗り回し銃を撃つだけだし、”12人対5万人”もぶっちゃけ友軍の人が加勢に来てくれるのでそこまで絶望的な差ではない。
登場人物も勇敢な主人公とか、その他の仲間達もベタなキャラ漬けなので、そこら辺の新しさも皆無だし。


纏めると、”戦争映画”としては迫力満点の良作なので、その分”アクション映画”としての新しさに欠けるのが少し残念だった所。
とは言え、火薬満載、ドンパチ大迫力、後味スッキリと、ミリタリーアクション映画としては十分な出来なので、そういうドンパチアクションを求めている人にはお勧めです。

そうじゃない人にとってはただドンパチだけの作品に見えるかもしれないが…まぁそういう人は他のドラマ映画でも見とけ。(無慈悲www)