真っ黒こげ太郎

DOGMAN ドッグマンの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
4.1
社会に見放され、愛を欲した青年――――。

彼は何故、DOGMAN(ドッグマン)と呼ばれる存在になったのか――――。




ある晩、女装姿の不審な男が警察に拘留される。
彼が乗っていたトラックには大量の犬が乗っていた。

拘置所内で“ドッグマン”ことダグラスは、精神科医のエヴリンに己の半生を語り始める。
家族の虐待から犬達の愛に助けられ、失恋、犯罪、輝かしい舞台、そして暴力の渦中へ―――。
ダグラスが語る、壮絶な人生とは―――。




犬に愛し、犬に愛された男、DOGMAN(ドッグマン)の壮絶な人生を描いた、バイオレンス・アクション・ドラマ。
監督、脚本は「ニキータ」や「レオン」、「トランスポーター」シリーズや「96時間」シリーズ等、ドラマからアクションまで、様々なジャンルを手掛けるフランス映画界の鬼才、リュック・ベッソン氏。


…ここ最近、好きなジャンルの映画を摂りつつも、映画館に行ってない所為でモチベーションが低下し、更新が厳かになってしもうた。
何しろ今年は近所で公開が決定している映画で期待できそうなアクション映画が僅かしかないのだから…。
最近は大作アクションでも火薬のドンパチが拝めるかどうか怪しいし、それが望めそうなタイプの映画は大体近所で公開されないし…。

しかし、このままでは精神的なモヤモヤを抱えて参ってしまいそうなので、どうにか近所で僅かでも好きなジャンルを望めそうな映画を探して見に行くことにした。


という事で、今作は予告編を見て「幼少期の悲惨な出来事を得て犬と心を通わせた男が、犬を操り町に巣食う悪党をオシオキ!!!的な悪人成敗系バイオレンスアクションか!!!」と思い、急遽映画館で鑑賞。
悪人に銃弾をぶっ放してるし、犬を操って悪を倒す戦闘シーンも良さそうだったので。



が、結論から言うと、俺の予想してた様な映画ではなかった…。

映画自体は面白かったけど。



本作は悲惨な人生を歩みながらも、犬の愛と共に歩んできたドラァグクイーンの男、DOGMAN(ドッグマン)の人生を過去回想の形で描いていく。
悲惨な幼少期から犬の愛を得て人生を這いあがり、人生をやり直そうとするが、現実はそんなに甘くなくて…という壮絶なドラマが、ダークかつ美しく描かれる。

そもそも本作は主人公の人生ドラマを描くのがメインで、アクション描写は添え物程度にしかありません。
クライマックスに犬と共に戦うドンパチ戦闘シーンはありますが、それ目当てで見るには適さない内容です。

主人公の人生はかな~り悲惨で、幼少期から青年期、大人になってもず~っと地獄の様な人生。
キチガイな父と腰巾着な兄に虐待を受け、青年期に運命の出会いを果たすもアッサリ失恋し、犬と共に生活し世知辛い世の中を生き抜こうとするも暴力の渦に巻き込まれ…と文章にして羅列するだけで人の心が無さすぎる展開。

しかし、そんな彼の人生も純粋な犬の愛に包まれ、寄り添う沢山の犬と共に美しく描かれてゆく。
本作に出てくる沢山の犬は皆お利口さんで、それでいて可愛らしい。
(統率の撮れた動きで悪党を噛み殺したりするけどw)
犬の活躍のお陰でクズ親父と兄を間接的とはいえ成敗できた展開は溜飲が下がった。
(その際に半身不随一歩手前になってしまうが…。)
自分は幼少期に足を噛まれたので(白目)犬に恐怖感や苦手意識があるのだが、今作の犬達を見てると「犬に癒される生活もアリかもしれんな」と思えてくる。

映像やドラマも美しく、お洒落な劇中歌で彩られる物語はユニークで面白い。
クライマックスの銃撃戦では犬と共に戦うアクションシーンが展開され見ごたえがある。
ラストの色々と壮絶かつ美しいラストも印象に残った。
(あのラストは色々と解釈が分かれそうだと思う。)


って事で、最初に予想していた様なアクション映画ではなかったけど、愛と暴力と可愛いワンコに彩られた見ごたえのあるバイオレンスなドラマで面白かったです。
主演の演技も映像美もドラマもクオリティが高く、リュック・ベッソン監督の過去の美しいドラマ作品とかが好きな方ならきっと満足するでしょう。


…とはいえ映画自体は面白かったけど、俺の予想していた様なアクション映画ではなかったんだけどね!!!

いや、なんて言うか、今作は面白かったんだけど、その一方で激しいドンパチアクションを探していた自分が居たというか。
アクションシーンは銃撃戦、犬のアクション共に素晴らしい出来なんですが、そもそこそのシーンはクライマックスでチョットある程度。
アクションのクオリティは素晴らしいし、見ごたえは十分あったのでガッカリはしませんでしたが、やっぱり映画館では激しいドンパチをもっと味わいたかったと言うべきか…。

身勝手な言い分だし、お門違いなのは分かってはいるんですが、「結局俺は火薬のドンパチを味わいたかったんだなぁ」という、台無しな結末に落ち着いてしまったと言うか…。
私的にリュック・ベッソンさんの作品にジェイソン・ステイサムさんやジェット・リーさんやリーアム・ニーソンさんのアクション物のイメージがあったのでそのイメージで挑んだのがマズかったかな…。
何度も言いますが今作は面白かったです、本作のファンの方々、ごめんなさい…!!!


最後の最後で台無しな文章になってしもうたが、美しくも残酷なバイオレンス・ドラマとしてオススメの逸品なので、興味がある方は是非どうぞ。
過去作のドラマ作品でも見せてくれた美しさもあるので、リュック・ベッソンさんのファンにもオススメ出来ると思いますぜ。

う~む、結局、己の無知と稚拙さと見る目の無さを露呈させる羽目になってしもうたな。w
まだまだ修行が足らんね。ちゃんと映画の本質を見極めた、真っ当な感想が書けるように頑張らなくては…。