真っ黒こげ太郎

マッドマックス/サンダードームの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.7
荒廃の世界。孤独の戦士を待っていたのは、無力なるものと最強・最悪の軍団!

マックスがむかえた最強の敵!襲い掛かる猛者たちのドームから激闘の荒野へなだれ込む!壮絶!史上最大の戦い!

…まぁ世紀末のアクションヒーロー物なら何時もの事ですが。




核戦争により世界が荒廃して気が付けば15年。
相変わらず荒野を彷徨っていたマックス・ロカタンスキーは、航空機を操る親子泥棒に荷物と馬車を奪われてしまう。

物流の街、”バータータウン”に行き着いたマックスは、街の支配者である女王アウンティ・エンティティに腕前を買われ、町を裏から牛耳ろうとする小男のマスターと大男のブラスターを倒して欲しいと依頼される。
マックスは町に売られた自分の荷物を取り戻す為、依頼を受ける。

死の闘技場、サンダードームでブラスターに戦いを挑み死闘を制したマックスだが、止めを刺すことを躊躇った事からエンティティの怒りを買い、身一つで砂漠に追放されてしまう。

砂漠で力尽き倒れてしまうマックスだが、子供達の部族「最後の部族」が暮らすオアシスに運ばれ、一命を取り留める。
どうやら彼らはマックスを「トゥモローランド」に連れて行ってくれる伝説のキャプテン・ウォーカーだと勘違いしていた。
人違いされたマックスだったが、何やかんやで部族の子供達の為に奮闘するのだった。




核戦争で荒廃した世界を舞台に、流れの男がとある部族の人々を救うために立ち上がる、バイオレンス・アクション映画。
核戦争後の暴力が支配するポストアポカリプスな世界を描いた「マッドマックス」シリーズ三作目。

って事で、前作でポストアポカリプスな世紀末世界を決定づけ、今宵も世紀末な世界観が描かれる事になったシリーズ三作目ですが、今作はシリーズの中でも特に評判が悪い。
無論、中には褒めてるレビューも散見されるが、基本的には酷評のレビューが目立つ。



というのも今作、前半はいつも通りヒャッハー渦巻く世紀末な世界を舞台にしているのだが、後半からはオアシスに生きる子どもの部族達がメインとなり、急にファミリー向けのファンタジー寄りな世界観になるのだ。
まぁ、輝かしい子供達の未来を救う為に世紀末救世主が奮闘する展開はオマージュ作の「北斗の拳」とかでもあったから別にいいんだけど、部族の村でのシーンになってからはまるでそれまでの世紀末なアレコレがまるでなかったかの如く消え失せてしまい「あれ俺確か”マッドマックス”シリーズ見てるんだよな…?」「”怒りのデスロード”の前日譚”フュリオサ”を見る為に今作を予習しとるんだよな…?」と大困惑し自分を見失ってしもうた。w

その上アクションも過去作に比べて少なくなっており、前半の闘技場でのバトルやクライマックスのカーチェイスこそ何時もの世紀末感満載なので良いのだが、それ以外は大したアクションも無いので盛り上がりに欠ける。
暴力描写も過去作に比べればヌルくなってしまい、バイオレンス満載な過去二作と比べても消化不良な出来栄えになってしまったのだ。

改めて見直して強く感じたが、そこら辺のトーンダウンが「失敗作」と呼ばれてしまった要因だと思う。
自分も後半の静かなパートが長く感じてしまったので、このシリーズに「世紀末なヒャッハー感」を強く望んでいるのは皆も同じなんだなぁと思った。


勿論良い所もあって、前半部分の毎度お馴染みな世紀末な世界観や、クライマックスの機関車と改造バギーのカーチェイスは楽しめました。

前半の街は如何にも「ヒャッハーな連中揃いの文明で成り立っている荒くれの街」感がビンビンしてて景気が良いし、闘技場「サンダードーム」での戦いもゴムバンジーを駆使したワイヤーアクションで面白く描かれている。
クライマックスでは機関車と改造バギーのカーチェイスというお馴染みの展開で、相変わらずスタントマンは危険に吹っ飛んでるし、バギーもクラッシュして景気良く火薬爆発している。
敵側のリーダーである女王も単純な悪人ではなく、一代で立派な流通の街を築き上げ、しっかりとマックスの腕っぷしを買い、最終的に敵対する事になった後も弱者の為に戦ったマックスの漢気を認めるという世紀末の猛者らしい熱い人物として描かれてたのが好印象でした。


ヒャッハーが蠢く流通の街とか、闘技場内での大バトルとか、ひと筋縄ではいかない町の女王のキャラとか、美味しい要素はかなりあったんですけどねぇ。(無論、世紀末的な意味で)

これで後半からのファミリー向けのファンタジー寄りなアレコレがまた違ったものであれば本作の評価や印象も変わったかもしれないだけに、何とも中途半端な印象を受けました。


って事で、素晴らしかった過去二作の血沸き肉躍るバイオレンスアクション要素が薄まって牙を抜かれた様な出来栄えになってしもうた本作。
何やらジョージ・ミラー監督が相棒の死で失意の中で、他の仕事仲間にドラマを任せることになったそうですが、結果的にそれが本作の低評価の要因に繋がってしまったのだろう。

自分は後半のファミリー&ファンタジーな所さえ除けば好きな部類の映画ではあるんですがね…。



本作の後、それから30年に渡ってシリーズが沈黙することになる。
本来はもっと早い段階で新作を公開しようとジョージ・ミラー監督は考えていたらしいが、様々な要因が重なり、伸びに伸びまくってしまった。

そして時は流れ2015年、ジョージ・ミラー監督は途轍もない作品を引っ提げて、再びシリーズのエンジンを鳴らすのでした。

次回、シリーズ最新作「マッドマックス:フュリオサ」に繋がる、壮絶な物語が描かれる!!!!


NEXT→「マッドマックス 怒りのデス・ロード」!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

V8!!!V8!!!V8!!!