あんじょーら

ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオのあんじょーらのレビュー・感想・評価

3.3
こっちこそ、りょーこさんのオススメでした、いろいろすみません。

B級ホラー作品でありながら、かなりのB級映画愛に溢れる作品で、その作りも非常に上手く出来てるんです!普通、このストーリィを説明されたら、なんじゃそりゃ?になると思うんですけれど、これが映像化として結構ハードルの高い事を、おそらく低予算でかなりの完成度を見せつけてくれます。特に回想シーンに入る演出なんか絶妙ですよ!

シングルマザーである母はB級映画の端役であり、生活にも困窮しているのですが明るい性格で、娘マックスを大変大事にしています。娘マックスはそんな母親が大好きだったのですが、その母親を交通事故で亡くしてしまいます。3年後、そんな母親が出演したB級スプラッター映画を映画館の副支配人の映画オタクでナードな友人から登壇の願いを渋々承諾します。そして映画の上映中に映画館で火災が発生!逃げ場を無くしたマックスと友人一同はスクリーンを破って脱出したかに見えたのですが、それはあのB級映画の中に取り込まれてしまい・・・というのが冒頭なんですけど、文章で簡単に説明するのでもこれほどかかるのに、僅か15分でここまでを7、あまり言葉にしないで説明してくれるこの手腕は最高です!

しかもこの15分の中で、主要登場人物、映画内登場人物のキャラ設定、性格、役割みたいなものが非常に整理されて頭に入ってきます、見事な冒頭です~必見です!こんなにコンパクトに導入が出来るってマジでスゴイっす!

B級映画のその様式美を、笑っているのに、尊敬の念を確実に受け手に分からせるのも素晴らしい手腕です。こういうのって愛が無いと絶対に出来ないのですが、非常に練り込まれた脚本、演出で大変気に入りました。この監督の名前は覚えておこうトッド・ストラウス=シュルソンさん、覚えにくいけど・・・

スプラッターホラーコメディな上に、母と娘の親子関係を綺麗に描いていて、そこも素晴らしいんです。こんに笑ってしまいながらもなるほどと思いつつ、当時のB級スプラッタームービーをメタ批評しているなんて凄いです。そう、愛がある上だからこそ、メタ構造の批評が効いているんです、入れ子構造だからこそ、その場に自分がいると考えると、立場を変えるならば、相手のダメな部分を指摘しつつ、それを超える何かを提供しなければならなくなる部分が必ず出てきますので。この辺に私は映画への愛を感じました。

中でも好きだったのは当然のシンパシーを感じた映画オタクでナードのダンカンです。あの立ち入り禁止の為のポールとポールの間のロープに躓くシーンとか愛しかないですね。


現代のビッチと、昔のB級スプラッターの中でのビッチの違い(w)も分かってその辺も良かったですし、散々現代のビッチが性根の悪さや底意地の悪さを行っておいて、急に殊勝な事を口にすると、それは死亡フラグなんだってことも教えてくれます。


あと気になったのはヒーローにもなれるはずのクリスの立ち位置です。この映画「ファイナルガールズ」が示していますけど、最後に残る女の子になるための女の子たち、なわけでその辺もあってか、物凄く脇に追いやられてて、笑えました。あと、全然関係ないんだけど、間違えて直前に見た「ファイナルガール」の犯人役の人と同じカナダ人俳優アレクサンダー・ルドヴィクが演じてて、余計に混乱しました。なんかこれは儲けモンの混乱でしたけどw

ラストの切れ味も最高です!でもこれは続編は止めた方がいい気がしますけど。